...「ほれ、渡すよ!」と、胸衣(むなぎ)のボタンをかけながら、おかみが言う...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ねむい」
...一家のあるじ一群の僕に渡すをうけとりて...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...すぐさま先方に渡すようにヴェリチャーニノフの手に托された...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...それと並行する金剛寺坂(こんごうじざか)荒木坂(あらきざか)服部坂(はっとりざか)大日坂(だいにちざか)などは皆斉(ひと)しく小石川より牛込赤城番町辺(あかぎばんちょうへん)を見渡すによい...
永井荷風 「日和下駄」
...深川(ふかがは)の小名木川辺(をなぎかはへん)の川筋(かはすぢ)には荷足船(にたりぶね)で人を渡す小さな渡場(わたしば)が幾個所(いくかしよ)もある...
永井荷風 「水 附渡船」
...三千代を引き渡す時だけだと思ってるんだから」代助は電流に感じた如く椅子(いす)の上で飛び上がった...
夏目漱石 「それから」
...この手紙を受取ってクララに渡す者はいずこの何者か分らぬ...
夏目漱石 「幻影の盾」
...夫に自らの支配権を売り渡すようなそういう妻もいるんでしょうけど...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...なるほどいま真名古が歩いた料理場の屋根を三分の二ほど見渡すことが出来る...
久生十蘭 「魔都」
...権利書は渡す」ムーアは嬉しかったが不安になった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...だって本来なら引き渡すべきところを...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...見渡す野は白い煙のなかに沈んでいた...
本庄陸男 「石狩川」
...見渡す全工場は真黒になった...
横光利一 「上海」
...すつかり阿母(おふくろ)に渡してしまふんです』『お母さんに渡すんですつて...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...しかし鎌倉を明け渡すのやむなきにいたった今...
吉川英治 「私本太平記」
...奉行所(ぶぎょうしょ)へ渡すといいよ...
吉川英治 「新書太閤記」
...渡すことはできぬ」道三は拒んだ...
吉川英治 「新書太閤記」
...尋常に、首渡すか、婆が一念の刃(やいば)を、受けてみるか、武蔵ッ、支度しやいっ」婆は、そういって、手に唾(つば)するのか、左手の指を唇へちょっと当て、短い脇差の柄(つか)へその手をかけてつめ寄った...
吉川英治 「宮本武蔵」
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