...)筆の渋る事も再三あつた...
芥川龍之介 「秋」
...』其日は一日、可成(なるべく)くすんだ顔を人に見せまいと思つて、頻りに心にもない戯談(じようだん)を云つたが、其(そんな)事をすればする程、頭脳(あたま)が暗くなつて来て、筆が渋る、無暗矢鱈に二号活字を使ふ...
石川啄木 「菊池君」
...何処かにそれをそのまゝ受け容れることを渋る気持があつた...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...筆が渋ると映画に救いを求めに行くのだったが...
徳田秋声 「仮装人物」
...彼を言い渋るままに放(ほう)っておいた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...聖を仰ぎつつ暫し渋る筆をとりつづけたが...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...養子と姪の祝言の入費さえ出し渋る叔母に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...とかく渋るようにおもえた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...なかには渋る者もあったですが...
山本周五郎 「風流太平記」
...すこし渋るかするその時は...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...もしそれを云い出したときの渋る自分の母の顔も想像出来た...
横光利一 「旅愁」
...」と矢代はこのときも答え渋るのだった...
横光利一 「旅愁」
...二こゑ渋るも…………おゝ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...嫌に今夜は渋るじゃありませんか...
吉川英治 「剣難女難」
...即答を渋るのは」「いまだに...
吉川英治 「私本太平記」
...病んでる腹がよけいに渋るで...
吉川英治 「新書太閤記」
...なんのかのと言い渋るので手拈(てこ)ずッたが...
吉川英治 「新・水滸伝」
...忘れたのだ」「どこへ」「じつは……昨日(きのう)……」云い渋ると...
吉川英治 「松のや露八」
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