...』其日は一日、可成(なるべく)くすんだ顔を人に見せまいと思つて、頻りに心にもない戯談(じようだん)を云つたが、其(そんな)事をすればする程、頭脳(あたま)が暗くなつて来て、筆が渋る、無暗矢鱈に二号活字を使ふ...
石川啄木 「菊池君」
...今日のような極めて有意義なる宴会に出席を乞われて応諾を渋るとは何事か...
谷崎潤一郎 「細雪」
...彼を言い渋るままに放(ほう)っておいた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...きまって出し渋る」将曹が...
直木三十五 「南国太平記」
...来てみるがいい」「でも――」渋る娘の手を取るように...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...石津右門の渋るのも構わず末広町の自宅に持って帰り...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...とかく渋るようにおもえた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...さてこそチューブ老人が億劫がつて出かけ渋るやうにと...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...一寸(ちょっと)渋る...
二葉亭四迷 「平凡」
...燃え渋る薪(まき)の煙が...
本庄陸男 「石狩川」
...お婆さんとさし向いで飯を食うのかと思うと足も渋る」わざとぞんざいに...
「一本の花」
...どういうわけか唐沢氏がそれを渋るのである...
矢田津世子 「女心拾遺」
...彼女の家へ直接行き渋る矢代を遠慮とのみ思い込んだ...
横光利一 「旅愁」
...工事場で彼のことばに渋る者があったり...
吉川英治 「鬼」
...嫌に今夜は渋るじゃありませんか...
吉川英治 「剣難女難」
...なんのかのと言い渋るので手拈(てこ)ずッたが...
吉川英治 「新・水滸伝」
...しきりに渋る腹鳴りを片手で抑えながら...
吉川英治 「随筆 新平家」
...そしてどうしたという理(わけ)か」いい渋る口を割らせるのは骨だったが...
吉川英治 「宮本武蔵」
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