...清らかな一すじの流れと申し...
芥川龍之介 「邪宗門」
...恍惚(うっとり)と父君に凭(もた)れかかるようにして、清らかな横顔、頤(あご)、頸筋をこちらに覗(のぞ)かせているロゼリイス姫の玲瓏(れいろう)さ! 白絹の垂れ幕の彼方ながら、透き徹らんばかりに(ろう)たけた神々しさ! 何かは知らず、壮厳なあたりの空気に圧せられて、我々が一瞬間呆気(あっけ)に奪(と)られて佇立していた時に、跪(ひざまず)いた侍女の一人が何か囁(ささや)いたのでしょうか? 両胸に垂れた白髯がかすかに揺(ゆら)いで、寝台上の老エフィゲニウスがあたかも瞑想からでも醒めたように、静かに眼を開きました...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...追記――川上といふところは川を挾んだ部落だが、水が清らかで、土も美しい、山もよい、神社仏閣が多い、中国の三次町に似てゐる、いはゞ遊覧地で、夏の楽園らしい、佐賀市からは、そのために、電車が通うてゐる、もう一度来てゆつくり遊びたいと思うた...
種田山頭火 「行乞記」
...東の山の端を越えて清らかな太陽の光りがこの湖水を中心にした盆地の上に落ちた...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...空は清らかだった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...これらの掘割を清らかにしたいものだ...
豊島与志雄 「蛸の如きもの」
...極彩色(ごくさいしき)のお勢よりは却つて清らかで魅力的であります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...美しさと清らかさを謳(うた)はれた茶汲女でしたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...今でも清らかな逢引を續けてゐると知つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...作太郎にあつて激しく咽び泣いた時のやうな清らかな慟哭が孝次郎の兩の耳を痛くした...
林芙美子 「雨」
...夏は大きく清らかに...
正岡子規 「俳諧大要」
...まだぬれている髪は少しのもつれもなく清らかにゆらゆらと...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...その清らかな眼鼻立ちを見ただけでもわかるのでした...
夢野久作 「死後の恋」
...色々の清らかな光りを放っている処へ来ました...
夢野久作 「白髪小僧」
...程近き松原の砂清らかなる処に伴ひ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...憂愁を湛(たた)えた清らかな眼差(まなざし)は...
横光利一 「微笑」
...其處に清らかな山巓の一點を置いて...
若山牧水 「樹木とその葉」
...漸く人の起き出た町をそのはづれまで歩いて行つて私は思ひもかけぬ清らかな渓流を見出した...
若山牧水 「渓をおもふ」
便利!手書き漢字入力検索