...そしてその不思議に混乱した心の状態もいわばたえきれぬほどの切(せつ)なさは持っていなかった...
有島武郎 「或る女」
...此の意見の混乱した争闘と騒ぎは...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...をり/\飆風(はやて)のやうに襲つて来る過去の幻影の混乱した中にも……...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...必ずそこにいわゆる「分子的に混乱した(molekular ungeordnet)系」がある...
寺田寅彦 「時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ」
...元子の混乱した衝突の間に偶然の機会でできあがるものであって...
寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」
...自分で人生の諸問題を混乱した論理で解決しようとしているのだ...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...亭主の頭から混乱した見物の頭上に落ちて来ましたから...
中里介山 「大菩薩峠」
...これが経となり緯となり千変万化錯綜(さくそう)して現今のように混乱した開化と云う不可思議な現象ができるのであります...
夏目漱石 「現代日本の開化」
...新しく切り開かれた赤土の道で、両岸の崖も模型図のやうに鮮やかに赧い断層面をそばだてゝゐて、黄ばみの強い陽が降り灑いでゐるので、熱帯地の真昼を想はせるかのやうに熾烈な光線に射られて初めから樽野はまぶし気に眉を顰めてゐたのだつたが、にわかに光りがぐる/\と渦を巻きはぢめ、忽ち物の象(かたち)が煙りに沈んでゆくかのやうに薄ぼやけ、そして、滅茶々々に色硝子の器物が砕け散るかのやうに、混乱した...
牧野信一 「村のストア派」
...世の中が少しでも混乱したり災難にあったりするのは...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...しかもぼんやりしたり混乱したりしているその内容のままで日暮しをしているかという...
宮本百合子 「異性の間の友情」
...モンテーニュに「個人は混乱した社会の唯中でどのようにその良心を守りとおすことができるか」という問題を論じさせたのである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...心なく公の文書にも採(と)り入れたために混乱したものであり...
柳田国男 「海上の道」
...その混乱した外界の上を自由に這い廻る愛情の鮮かな拡がりを...
横光利一 「上海」
...今さら別な混乱した推測を与えたくはなかったからだったが...
横光利一 「旅愁」
...船中は混乱した...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...私の混乱した舌が伝え得る以上に納得してもらえるのではないか...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
...全市の感覚は激動の後渦巻のごとく混乱した...
和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
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