...そして私たちはとうとう波のない時には腰位まで水につかるほどの深味に出てしまいました...
有島武郎 「溺れかけた兄妹」
...彼女の本当の『苦しみ』が其処で深味をましたのです...
伊藤野枝 「背負ひ切れぬ重荷」
...私はこの頃それがだん/\深味へ入つて来たことを意識してゐる...
伊藤野枝 「人間と云ふ意識」
...その唯一のおどかしは凡(すべ)ての人に役立つ丈(だ)けの深味も強みも持つてゐません...
伊藤野枝 「妾の会つた男の人々(野依秀一、中村弧月印象録)」
...深味の無いこと...
太宰治 「女生徒」
...あるいは澱(よど)む深味へ風が過ぎてゆくようになったりする音色(ねいろ)は...
長谷川時雨 「朱絃舎浜子」
...深味のある声で答えました...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...「靜物」の深味のある生のなかに...
堀辰雄 「プルウスト雜記」
...彼女は真から悦(よろこば)しさうに顔をあからめて深味のこもつた上眼を輝かせました...
牧野信一 「舞踏会余話」
...深味につき落したのも...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...これは便利であるにしても、深味はなく、個性にも乏しいのである...
三木清 「辞書の客観性」
...深味がなくて、あちこちの線を長く引いたりするのに技巧を用いたものは、ちょっと見がおもしろいようでも、それと比べてまじめに丁寧に書いた字で見栄(みば)えのせぬものも、二度目によく比べて見れば技巧だけで書いた字よりもよく見えるものです...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...一方は何の深味もなく...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...昔よりも深味のできた品のよい所が見え...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...右大将のことを深味のあるような人であると夫人が言うのを聞いても...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...深味がなかろうと...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...かの女が読むと、かの女の感情が、文を生かして、わずかな辞句(じく)にも、深味が加えられ、聞く者みな、涙をながした...
吉川英治 「新書太閤記」
...それが段々深味におちて...
蘭郁二郎 「蝕眠譜」
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