...そうでなく臭気の淡い地区とがあるのを発見した...
海野十三 「蠅男」
...淡い暮色に包まれていた...
高見順 「いやな感じ」
...淡い月光を浴びながら...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...赤や金色や灰色の淡い筋がはじめて地平線を涯(はて)から涯まで劃(かく)した時...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「サレーダイン公爵の罪業」
...淡い上弦の月が西空に傾いてる頃...
豊島与志雄 「狸石」
...ごく淡い而もごく親しい記憶があった...
豊島与志雄 「道連」
...陽光のなかに立ち昇る線香の淡い煙を...
豊島与志雄 「未亡人」
...一様に淡い色のタッチなどを注文することが...
中井正一 「色彩映画のシナリオ」
...淡い冷笑のうちに...
夏目漱石 「明暗」
...彌三郎は素姓も判らぬ拾ひ子ですが、維盛(これもり)樣のやうな美男、お絹とは似合ひの夫婦雛(めをとびな)を見るやうで、主人の佐兵衞も妙に許したやうな眼で見、二人の間柄も、淡い友愛から、次第に濃い戀へと變つて行くのが、店の人達の眼にも、はつきり判るのでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お房の淡い戀心に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...淡い雲の裏側に、鋸型の黒い山影のやうな雲も浮き出てゐた...
林芙美子 「瀑布」
...水面に沿って淡い亡霊のような靄が昇り...
A. ビアス A.Bierce The Creative CAT 訳 「チカモーガ」
...見あぐれば淡い新月に照らされて...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...淡い黄褐色の上着を着た男が鍵を取り出し...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...それに花色の淡いものと濃いものとがあったが今残っているか...
牧野富太郎 「植物記」
...そしてその淡いところだけがかすかに動いてゐる樣に見えた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...我々の心の一角に触れる淡い情趣が生かされている...
和辻哲郎 「院展日本画所感」
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