...淡い月光(つきかげ)と柔かな靄(もや)に包まれて...
石川啄木 「鳥影」
...淡い紫を掛けたような衣の彩織で...
泉鏡花 「遺稿」
...惣助呵々(からから)と笑って、大音に、「鬼は外、鬼は外――」道子二十九夫の所好(このみ)で白粉(おしろい)は濃いが、色は淡い...
泉鏡花 「婦系図」
...人々のあさましい態度と浅果(あさはか)な考へを冷笑してやり度いやうな皮肉な考へと一緒にまた淡い悲しみと寂しさとを感ぜずにはゐられない...
伊藤野枝 「日記より」
...ふーん」和作に対する印象の淡い信徳は感心して見せた...
犬養健 「朧夜」
...淡い淡い甘味に満足しているのである...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...逝(ゆ)く春の淡い悩みに浸された...
徳田秋声 「縮図」
...淡い赤色の照明の中を...
豊島与志雄 「蛸の如きもの」
...淡い上弦の月が西空に傾いてる頃...
豊島与志雄 「狸石」
...淡い一脈の昔の夢の名残だけの親しみに満足して...
豊島与志雄 「道化役」
...そしてその周囲に淡い日の光りがあった...
豊島与志雄 「囚われ」
...電気雪洞の二ワットの淡い灯が...
豊島与志雄 「祭りの夜」
...さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、淡い、それでゐてくつきりとした影を落としてゐるのでした...
中原中也 「在りし日の歌」
...さびれた池の淡い日だまりに...
原民喜 「ある時刻」
...今も淡い早春の陽ざしのなかに樹木や水はひつそりとしてゐた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...高重は突き出た淡い口髭の周囲をとがらせながら...
横光利一 「上海」
...この色もない香も淡い渋茶をのみながら何を生きがいとしているのだろうか...
吉川英治 「随筆 新平家」
...淡い月影の斑(ふ)であった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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