...僕はフエームの沒落に就いて淋しさを感ぜずにゐられる程練れた人間でもないけれども...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...淋しいことである...
上村松園 「棲霞軒雑記」
...今夜は止めうと考へることもあるが御飯が濟んでラムプに火を點(とも)す頃になると淋しくなる...
高濱虚子 「俳諧師」
...私はこの友人たちと一日でも逢はなかつたら淋しいのだ...
太宰治 「思ひ出」
...御使いから帰って来るのに会う時御辞儀をして自分を見て微笑する顔の淋しさなどを考え...
寺田寅彦 「雪ちゃん」
...そして口淋しくなると...
徳田秋声 「足迹」
...」浅井は、自分から見棄てられてしまった、寂しい荒れた家のさまや、絶望の手を拡げてまだ自分に縋(すが)りつこうとしているようなお柳のやるせない顔を、今見て来たままに思い浮べながら、淋しく笑った...
徳田秋声 「爛」
...僕の懐中は実際淋しくなっていた...
豊島与志雄 「不肖の兄」
...自分ばかりは唯独り心淋しく傾けるキァンチの一壜(ひとびん)に年を追うて漸く消えかかる遠い国の思出を呼び戻す事もあった...
永井荷風 「銀座」
...悲しいとも、淋しいとも、嬉しいとも、何とも思ふ事が出来ない...
永井荷風 「黄昏の地中海」
...左右は物淋しい田舎(いなか)の畑道のようなところになっているようです...
中里介山 「大菩薩峠」
...夕陽既に村外れの火の見柱にかかり「コガー・コガー(註 古河)」と呼ぶ駅員の声も何とやらん夕淋しくそぞろに旅情をさそう...
中谷宇吉郎 「寺田寅彦の追想」
...君達に笑われるばかりだし……」それでも淋しくニッコリして...
野村胡堂 「判官三郎の正体」
...これからひとり者になつてゆく淋しさを愉しんでゐるふうな...
林芙美子 「朝夕」
...只ならぬ淋しさに...
林芙美子 「新版 放浪記」
...トンネルの中に入ると突然彼は「あゝ淋しいなア...
牧野信一 「予の恋愛観」
...どんな淋しい身やらと思われまする...
吉川英治 「私本太平記」
...不知哉丸も淋しがります...
吉川英治 「私本太平記」
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