...造化広大の恩人も木も石も金もともに燬(や)くるかと疑わるる炎暑の候にまたかくの如く無尽の涼味を貯えて人の取るに任すとは有難き事なりと...
饗庭篁村 「良夜」
...この涼味を表すと同時に下品に陥らぬ様に注意したので模様なども成るべく上品なものを選びました...
上村松園 「螢」
...冷いくらゐの涼味は茶屋が軒先の筧の水から湧いて...
近松秋江 「箱根の山々」
...ほてった皮膚に冷たい筆の先が点々と一抹(いちまつ)の涼味を落として行くような気がする...
寺田寅彦 「自由画稿」
...しかしまだこの意味での涼味の定量的研究をした学者はない...
寺田寅彦 「備忘録」
...皮膚のうちの若干の選ばれた局部に適当な高温度と低温度とを同時に与えればわれわれはそれだけで涼味の最大なるものを感じうるのではないか...
寺田寅彦 「備忘録」
...一日汗水たらして働いた後にのみ浴後の涼味の真諦(しんたい)が味わわれ...
寺田寅彦 「涼味数題」
...涼味の話がつい暑苦しくなった...
寺田寅彦 「涼味数題」
...いくらか涼味があった...
豊島与志雄 「足」
...涼味襲ふが如し...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...涼味少しく樹に生じ虫声漸く多し...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...他の病室の患者の慰めなりといへどもひとの枕のほとり心づかざれば未だみしこともなく朝まだき涼しき程の朝顔は藍など濃くてあれなとぞおもふ僅に凌ぎよきは朝まだきのみなり蚤くひの趾などみつゝ水をもて肌拭くほどは涼しかりけり夕に汗を流さんと一杯の水を被りて糊つけし浴衣はうれし蚤くひのこちたき趾も洗はれにけり涼味漸く加はる松の木の疎らこぼるゝ暑き日に草皆硬く秋づきにけり三二十三日...
長塚節 「長塚節歌集 下」
...涼味という感じにはまるでならなかった...
夏目漱石 「行人」
...一種の涼味を感ずると共に...
西田幾多郎 「我が子の死」
...唯(ただ)顔(かお)に当る夜風の涼味をのみ感じたが...
二葉亭四迷 「浮雲」
...或ひは碧藍の洞窟に於ける涼味満々たる清流の...
牧野信一 「卓上演説」
...先達中(せんだつてぢう)の陰雨に引きかへつて此頃は空も浅瀬の如くに澄み渡り秋の涼味は玉のやうにうるはしく訪れてゐます...
牧野信一 「〔編輯余話〕」
...この過多の涼味を加減することを企てていた形跡がある...
柳田国男 「雪国の春」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??