...この涸沢(からさわ)の岩小屋(いわこや)が大好きだった...
大島亮吉 「涸沢の岩小屋のある夜のこと」
...もちろん涸(か)れた川には流れの音のあるはずもなかった...
徳田秋声 「蒼白い月」
...僅かな流動物で辛うじて生命を繋ぎとめている身体には凡ての力の根が涸れつくしているようである...
豊島与志雄 「過渡人」
...当分泉の涸(か)れる憂いはなかったにしても...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...もう声も涸(か)れきっているのに...
中里介山 「大菩薩峠」
...水は年中涸れぬという...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...ちょうど乾涸(ひから)びた糒(ほしい)のようなもので一粒(ひとつぶ)一粒に孤立しているのだから根ッから面白くないでしょう...
夏目漱石 「道楽と職業」
...けれどももし詩に涸(か)れて乾(から)びたのが老人なら...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...人類の創造力が涸渇しつくさない限り...
平林初之輔 「文芸は進化するか、その他」
...若葉して水白く麦黄ばみたり柳散り清水涸(か)れ石ところ/″\春雨や人住みて煙壁を漏るのごとく五二または五三と切れたるもあり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...その例嵯峨へ帰る人はいづこの花に暮れし一行の雁(かり)や端山(はやま)に月を印す朝顔や手拭(てぬぐい)の端の藍をかこつ水かれ/″\蓼(たで)かあらぬか蕎麦か否か柳散り清水涸(か)れ石ところ/″\我をいとふ隣家寒夜に鍋をならす霜百里舟中(しゅうちゅう)に我月を領すその外調子のいたく異なりたる者あり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...このこともし実行されなば那智滝は水源全く涸れ尽すはずなりしなり...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...河は常よりも涸れている...
シュミットボン Willhelm Schmidt-Bonn 森鴎外訳 「鴉」
...きわめて容易に涸れた井ノ頭であることを知り得るのである...
柳田國男 「地名の研究」
...村岡櫟斎(れきさい)翁の『甲信紀程』に軽井沢は涸渓(かれさわ)の義ならんとあり...
柳田國男 「地名の研究」
...どうしたものかすっかり涸(か)れてしまっている...
夢野久作 「暗黒公使」
...暗き地牢(ぢろう)の底に其力(そのちから)を涸(から)しながら...
與謝野寛 「失楽」
...涸(か)れはてている涙を顫(おのの)きこぼした...
吉川英治 「日本名婦伝」
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