...声さえ感動に堪えないごとく涙ぐむようになって来た...
芥川龍之介 「路上」
...太陽の光さへも涙ぐむこの頃の時季を選び...
薄田泣菫 「水仙の幻想」
...よい昼でありよい夜であつた(それでも夢を見ることは忘れなかつた!)枯草山に夕日がいつぱいしぐるゝや人のなさけに涙ぐむ山家の客となり落葉ちりこむずんぶり浸る一日のをはり・夕しぐれいつまでも牛が鳴いて夜半の雨がトタン屋根をたゝいていつた・しぐるゝや旅の支那さんいつしよに寝てゐる・支那の子供の軽業も夕寒い・夜も働らく支那の子供よしぐれるなひとりあたゝまつてひとりねる十一月十二日晴...
種田山頭火 「行乞記」
...ふと涙ぐむ時など...
近松秋江 「黒髪」
...一瞬、危く涙ぐむほど、私は有難かつた...
外村繁 「打出の小槌」
...たあいなく涙ぐむことが多い...
豊島与志雄 「自由人」
...夢みつつ涙ぐむのだ...
豊島与志雄 「神話と青春との復活」
...二人とも口を噤んで涙ぐむ……...
豊島与志雄 「慾」
...僕の肩にすがって涙ぐむ...
豊島与志雄 「慾」
...もう痛みはありませんが――」とツイ涙ぐむのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...私は顔をあかめて心のふるへをたゝみそつと涙ぐむのです...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...白いお手ひとりぼつちでゐる時にぼくはいつでも思ひだすそれはきれいなねえさんのほんとにやさしい白いお手「おりこうさんね」といひながらぼくの頭をなでたお手いつのことやら忘れたがどこのだれやら忘れたがぼくはいつでも思ひだすそしてなぜだか涙ぐむ...
水谷まさる 「歌時計」
...その刹那に、自分は、狭い部屋に窮屈そうに横坐りに坐って、日本語は少し役に立つが、文字と来たら、怪物のようにむずかしいと、ぎごちなく話した彼の姿や顔を、涙ぐむ程、はっきり思い起した...
宮本百合子 「思い出すこと」
...涙ぐむほどの羨望です...
宮本百合子 「獄中への手紙」
......
室生犀星 「抒情小曲集」
...朝霜の大川で洗濯するのを眺めながら「あたし西村さんの処へお嫁に行って上げたい」「ホンニナア」と涙ぐむ者さえあった...
夢野久作 「いなか、の、じけん」
...五歳(いつゝ)に満たぬアウギユスト、みづから恃(たの)むその性(さが)を母はよしやと笑(ゑ)みながら、はた涙ぐむ、人知れず...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...相手の涙ぐむのを見て...
吉川英治 「新書太閤記」
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