...清水涌きて溜れり...
大町桂月 「鹿島詣」
...滾々涌き出づる清水を掬し...
大町桂月 「川魚料理」
...思ふ人ある身は悲し雲涌きて尽くる色なき大空のもと野に立つて目を放つと地平からむくむく雲が涌き上つてきていつ果てるとも知れない...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...宿世をば敢て憎まず我涙いと快く涌き出づる日は作者は仏教の因果観を信ずるものでないだらうから...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...舞踏が涌き上つた...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「旗手クリストフ・リルケ抄」
...その壺の底のほうからごおっといって無数の音響が絶えまなしに涌きあがっている...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...すると連中は涌き出して...
牧野信一 「歌へる日まで」
...自ずと涌き出ずる詩情を希ひたいと念ずるのであつたが...
牧野信一 「痩身記」
...あちこちの街角から涌きあがる温泉の煙りが駘蕩として薄紫色の山々を撫でゝゐた...
牧野信一 「タンタレスの春」
...幻想涌きて限りなし――といふヨハンの歌をうたひながら手風琴を弾いた...
牧野信一 「馬車の歌」
...左の腿の関節に非常な痛みが涌きあがつて...
牧野信一 「妄想患者」
...有りあまる奇麗な軟い水が涌き出るのを見ると...
正宗白鳥 「水不足」
...これは『斉東野語(せいとうやご)』に出た野婆の腰間を剖いて印を得たというのと、大瓶猩々の謡に「あまたの猩々大瓶に上り、泉の口を取るとぞみえしが、涌(わ)き上り、涌き流れ、汲(く)めども汲めども尽きせぬ泉」とあるを取り合せて造った譚らしい...
南方熊楠 「十二支考」
...2290一同(栓を抜けば各自の杯に所望の酒涌きて入るゆゑ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...たはやすく涌き出でしめむとす...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...心の奥の一番早く出来た宝の数々が涌き上がる...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...いまは寒さがきびしく、涌き水は氷って、つららが垂れているし、歯朶類は枯れて、みじめにちぢれた葉が、川から吹きあげる風に、音もなくふるえていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...太古の歌が彼を通じて涌きおこり...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
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