...言葉を換へて云へばあらゆる宗教は全てを包含する調和の感情といふ宗教中に消え去るのである...
エレン・ケイ 伊藤野枝訳 「恋愛と道徳」
...空中で火花が消え去るように...
海野十三 「火星兵団」
...西の空に消え去るのを待って...
海野十三 「少年探偵長」
...一台だけ消え去るというのは...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...締め切った三畳の空間からねずみが一匹消え去る道理はなかった...
寺田寅彦 「ねずみと猫」
...全く何故ともなく凡てが消え去る空虚の時が来る...
豊島与志雄 「真夜中から黎明まで」
...この宝燈の中へ消え去るべき自分だとも思ったり――或いは...
直木三十五 「南国太平記」
...二十世紀の倫敦がわが心の裏(うち)から次第に消え去ると同時に眼前の塔影が幻(まぼろし)のごとき過去の歴史を吾が脳裏(のうり)に描(えが)き出して来る...
夏目漱石 「倫敦塔」
...完全に此世界から消え去ることでしょう...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...今は邪念も懊悩も霧の如く消え去る心地...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...立ちこめた靄の消え去るころ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...現はれては消え去る窓外の家並をさつきから首を伸ばして眺めてゐた鹿野巳喜三は...
北條民雄 「大阪の一夜」
...それを読みはじめたときから私の胸を一ぱいにさせていた憤懣(ふんまん)に近いものはなかなか消え去るようには見えなかった...
堀辰雄 「楡の家」
...彼女の影が遠く街路樹のうちに消え去るまで...
マクドナルド George MacDonald 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...社会形成の推移の過程にあらわれて来ているこの女にとって自然でない女らしさの観念がつみとられ消え去るためには...
宮本百合子 「新しい船出」
...工藝から色彩も模様も即刻に消え去るであろう...
柳宗悦 「工藝の道」
...片々(へんぺん)の影を描いては消え去る落葉の紛々(ふんぷん)と...
吉川英治 「平の将門」
...しかし一度心に起こった事はいかに恥じようとも全然消え去るという事がありません...
和辻哲郎 「ある思想家の手紙」
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