...黒い上につややかな青みが浮く...
芥川龍之介 「偸盗」
...火の浮く時は下へ沈んで...
泉鏡花 「海異記」
...どちらの人物も齒の浮く樣にきざなのが目に立つ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...宙を浮く様に進んで行く...
江戸川乱歩 「悪霊」
...あまりの歯の浮くような見え透いたお世辞ゆえ...
太宰治 「新釈諸国噺」
...四海の中(うち)が浮くか沈むかという時勢であるそうな...
中里介山 「大菩薩峠」
...千人殺せば年に五千俵の米が浮く...
中里介山 「大菩薩峠」
...改名披露ってなことに致したいもんでげすが……」相も変らず歯の浮くような調子で...
中里介山 「大菩薩峠」
...平の町より平潟の港へかへる途上磐城關田の濱を過ぎてこませ曳く船が帆掛けて浮く浦のいくりに立つは何を釣る人汐干潟磯のいくりに釣る人は波打ち來れば足揚(あげ)て避けつゝ平潟港即事松魚船入江につどひ檣に網(あみ)建て干せり帆を張るが如し九日午後になりて雨漸く收る...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...崩(くず)し格子(ごうし)の、畳から浮く角に、何やら光るものが奥に挟(はさ)まっている...
夏目漱石 「虞美人草」
...一方の足は浮くような歩き方だ」「…………」「もう一つ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そんな歯の浮くやうな夢に駆られてイヽ気になつてゐられては此方がやり切れない...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...土蔵の上に体が浮く...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...けれども陸羽(りくう)一三二号(ごう)のほうは三割(わり)ぐらいしか浮く分がなかった...
宮沢賢治 「或る農学生の日誌」
......
室生犀星 「星より來れる者」
...褐色の血? 死水に浮く脂肪? のかがやき...
夢野久作 「江戸川乱歩氏に対する私の感想」
...思ひは沈む恋は浮く”というのや“波の八島をのがれ来て...
吉川英治 「随筆 新平家」
...とそれこそ一つ二つの花が光の中に浮くやうに静かに徐ろに草むらのなかに咲いて来た...
若山牧水 「村住居の秋」
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