...雨後の空がまだどんより灰白色に曇つてゐる時三千尺の聖ヶ岳は須雲川の溪谷の彼方に屏々として眞鯉の背の如き濃藍色の山膚をくつきりと浮出してゐる...
近松秋江 「箱根の山々」
...朝のうち切れぎれに浮んでいた雲は...
豊島与志雄 「塩花」
...呂将軍の眼もその時だけは生々とした色を浮べました...
豊島与志雄 「白塔の歌」
...一種の明るい気分が浮き上っていた...
豊島与志雄 「二つの途」
...えゝ?」そう聞かれると一番に浮ぶのは...
直木三十五 「新訂雲母阪」
...その主なるもののみを挙げるならば、東海散士柴四朗「佳人之奇遇」、「東洋之佳人」、矢野竜渓の「経国美談」、「浮城物語」、末広鉄腸の「雪中梅」、「花間鶯」、木下尚江の「良人の自白」、「火の柱」、内田魯庵の「社会百面相」等がある...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...寛保の末年浮世絵は西村重長(奥村政信門人)の工夫によりて初めて純然たる彩色板刻(さいしきはんこく)(二色板紅絵)の法を発明し宝暦に入りてその技(ぎ)益進歩せり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...現在では隅田川に浮ぶ渡船はどこを眺めても見られなくなった...
永井荷風 「水のながれ」
...新しい苦悶の色が浮びます...
野村胡堂 「踊る美人像」
...浮きつ沈みつする子供に近づき...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...八ツ山ホテルと云う歪んだ風景が目に浮んでくる...
林芙美子 「新版 放浪記」
...バルコンには獅子の紋章を浮き出しにした古風な金具がつき...
久生十蘭 「ハムレット」
...浮世の荒浪に泳ぎ出づるとも...
福田英子 「妾の半生涯」
...あれこれと憶(おも)い浮べる家中の共通な知人には...
本庄陸男 「石狩川」
...おのれ自身の美の反映にむかって両腕をのばしながら浮かべる...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...眩(まぶ)しいほど白い雲が幾つか浮かび...
山本周五郎 「さぶ」
...と云って曙色になった頬に微笑を浮べて私を迎える...
吉行エイスケ 「孟買挿話」
...彼等にとっては恐らく生れて初めて見るものらしいこの山の果物を手にとる時の彼等の笑顔がはっきりと思い浮べられた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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