...」色の浅黒い、小肥りに肥つた男は、かう一部始終を語り終ると、今まで閑却されてゐた、膳の上の猪口(ちよく)を取り上げた...
芥川龍之介 「鼠小僧次郎吉」
...ほども遠い、……奥沢の九品仏(くほんぶつ)へ、廓(くるわ)の講中(こうじゅう)がおまいりをしたのが、あの辺の露店の、ぼろ市で、着たのはくたびれた浴衣だが、白地の手拭(てぬぐい)を吉原かぶりで、色の浅黒い、すっきり鼻の隆(たか)いのが、朱羅宇(しゅらう)の長煙草(ながぎせる)で、片靨(かたえくぼ)に煙草(たばこ)を吹かしながら田舎の媽々(かかあ)と、引解(ひっとき)ものの価(ね)の掛引をしていたのを視(み)たと言う……その直後である……浜町の鳥料理...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...紅葉は色の浅黒い...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...彼は浅黒い額や縮れ髪(げ)に対する昨日の自分の憎念を思い出して...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...一人のデイゴーがいましたからな……というよりおそらく色の浅黒いイタリア人ですかな...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「ブラウン神父の醜聞」
...浅黒い顔が艶々(つやつや)と光っている...
近松秋江 「うつり香」
...するうち嵐(あらし)が凪(な)いで、書生はその辺を飛びまわっている男の子の機嫌(きげん)を取るし、色の浅黒い、目の少しぎょろりとした継母は匆々(そうそう)にお辞儀をして出て行って、葉子は子供のふざけているのに顔を崩しながら、書生たちにもお愛相よくふるまっていた...
徳田秋声 「仮装人物」
...額の骨立った浅黒い顔を挙げ...
豊島与志雄 「香奠」
...平田も浅黒い顔をにこにこさせました...
豊島与志雄 「香奠」
...あの色の浅黒い・隼(はやぶさ)の様な眼をした亜米利加女が...
中島敦 「光と風と夢」
...脊(せい)のすらりとした、色の浅黒い、眉の濃い、唇の薄い女である...
夏目漱石 「それから」
...少し浅黒い顔、長い眉、よく通った柔かい鼻、その下の唇が近くて、頬が引緊(ひきしま)って...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...色の浅黒い恰幅(かっぷく)の立派な青年で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「銭形の親分、御苦労で」三十二三、色の浅黒い、少し態度に誇張はありますが、立派な男前でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...賢そうな浅黒い顔...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...色の浅黒い、中高な、右の頬の黒子(ほくろ)が目にたつ、お糸さんは佳(い)い女の方ではなかつた...
平出修 「二黒の巳」
...浅黒い肌の人に限って...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「幸福への意志」
...浅黒い皮膚には精悍(せいかん)な健康が魚油(ぎょゆ)を塗ったようにみなぎっている...
吉川英治 「江戸三国志」
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