...思想の分立は遂に生活の分立となるは洵にやむを得ざる自然の經過である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...洵に塵外に別天地...
大町桂月 「金華山」
...洵に稀有の大磐石也...
大町桂月 「十和田湖」
...洵に不思議な位一致して居るのであります...
竹越與三郎 「日本の眞の姿」
...一洵老来庵、先日来の酔態狂態を告白する、多少気持がよくなつた、やれ/\といふ感じである...
種田山頭火 「一草庵日記」
...十時頃、一洵君来庵、同道で布佐女さんを見舞ふ、大したことがなくて安心した、お土産は茶掛三枚(一洵君の絵に私が賛句したもの、お互に心臓は強いぞ/\!)...
種田山頭火 「松山日記」
...一洵君を通して、村瀬さんから明晩招待される、ありがたう...
種田山頭火 「松山日記」
...私の心は悲しい……老いたる者をして――「空しき秋」第十二老いたる者をして静謐(せいひつ)の裡(うち)にあらしめよそは彼等こころゆくまで悔いんためなり吾は悔いんことを欲すこころゆくまで悔ゆるは洵(まこと)に魂を休むればなりあゝ はてしもなく涕(な)かんことこそ望ましけれ父も母も兄弟(はらから)も友も...
中原中也 「在りし日の歌」
...洵にこの作者に著しい思ひやりの深い...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...洵に想像に余りがある...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...其頃迄も人が死んだ時自ら縊死して殉し又他人を絞殺し又強て死人の馬を殉殺しとあれば垂仁帝が殉死を禁じた令も洵ねく行はれなんだのだ...
南方熊楠 「人柱の話」
...洵(まこと)に危急存亡の秋(とき)なるに...
森鴎外 「舞姫」
...一寺田洵吉(じゅんきち)は今日も...
蘭郁二郎 「魔像」
...何でもないさ――」洵吉は...
蘭郁二郎 「魔像」
...彼はもう水木のことも忘れ、壁に貼られた写真の高さにつれて、伸び上ったり、屈み込んだりして、なめるような観賞をほしいままにして行くうち、洵吉は、いよいよこれらの写真から音もなく匍(は)い出る妖しい波動に、シッカリと身動きも出来ぬほど固く、心を奪われてしまった...
蘭郁二郎 「魔像」
...水木と洵吉とは、蛇が蛙を呑み込む瞬間を、大写しにして喜んだり、或る時は「絞首台の死刑囚」と題する写真を撮る為に、洵吉が芝居染みた扮装をして、陰惨なバックの前で、天井から吊るされた縄に、首を絞(くく)ってぶら下り――莫迦気たことには、光線の加減で、シャッターを長くした為、も少しで洵吉は本当に死んでしまうところだった――けれどその代り、この写真を焼付けて見ると、正(まさ)に死に墜ちる瞬間の、物凄い形相が、画面からぞわぞわと滲出(にじみで)て、思わずゾッとしたものが、背筋を駛(はし)るほどの出来栄えだった...
蘭郁二郎 「魔像」
...今迄君に手伝って貰ったようなもんだよ」そんなことをいわれると洵吉は余計訊きたくてたまらなかった...
蘭郁二郎 「魔像」
...それは如何にも狂人のように不規則な、馬鹿高い哄笑だったので、洵吉は、思わずギクンとしながら、この女が眼を覚しはしないか、と心配したほどだった...
蘭郁二郎 「魔像」
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