...この時戸から洩れる蜘蛛(くも)の糸ほどの朧げな光が...
芥川龍之介 「影」
...中から話聲が洩れたので...
石川啄木 「葬列」
...樹立ちを洩れて陽光が惜し気もなく画室のなかへ流れこむ...
上村松園 「画室談義」
...第一他へ洩れるようなことがあると...
海野十三 「特許多腕人間方式」
...二階の雨戸に燈火の洩れるのを頼りに...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...それとも小猫にあやまらさうとする婦人の言葉を洩れ聞いて...
薄田泣菫 「黒猫」
...それが彼女自身の温かい口から洩れてくる優しい柔かい息のように感じられて...
近松秋江 「霜凍る宵」
...書物の頁(ページ)をまくる音が洩れ聞えた...
徳田秋声 「足迹」
...刑戮(けいりく)に洩れて地下に潜み...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...カーテンの向方に窺へる兄の部屋には満々と明りが点いてゐて微かに人の声さへが洩れて来るのであつた...
牧野信一 「海路」
...意力によって計画された「完全な犯罪」の機構(しかけ)の中からフラフラと洩れ出した無力な人形ではなかったろうか……何時...
夢野久作 「殺人迷路」
...木の間からときどき洩れて来る街灯の光りにその都度千鶴子の帽子の紅色のネットが泛き出した...
横光利一 「旅愁」
...劉玄徳も多分に洩れず...
吉川英治 「三国志」
...……奥では寝つかない三郎丸(正儀(まさのり))を寝かしつけている乳母の歌う子守唄が河内訛(かわちなま)りをおびてあわれに洩れてくる...
吉川英治 「私本太平記」
...やがて灸(きゅう)のにおいが行宮(あんぐう)の一間から洩れた...
吉川英治 「私本太平記」
...もう誰からともなく洩れていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...それからそれへと洩れてくるささやきは...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...どうしたことかその選に洩れているのである...
蘭郁二郎 「宇宙爆撃」
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