...馬車の窓より洩るる燈光に...
芥川龍之介 「開化の殺人」
...淫声戸外に洩るるようになったのは...
押川春浪補 「本州横断 痛快徒歩旅行」
...産屋(うぶや)洩る初日影より...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...ほととぎす大竹藪を洩る月夜また一度は風景画家広重と連立ち...
薄田泣菫 「独楽園」
...短檠(たんけい)の明りが隙間洩る風にあおられてゆら/\とはためくたびに...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...隙洩る風はこの部屋をいかにも佗住居らしくする...
種田山頭火 「行乞記」
...喞筒(ポンプ)の水を汲み上げるもの、ヅックの管を荷(にな)ふもの、管の尖(さき)を持つて頻りに度合を計つて居るもの、やれ今少し力を入れろの、やれ管が少し横に曲るの、やれ洩るの、やれ冷いのと、それは一方(ひとかた)ならぬ大騒で、世話人らしい印半纏(しるしばんてん)を着た五十格好(かつかう)の中老漢(ちゆうおやぢ)が頻りにそれを指図して居るにも拘(かゝ)はらず、一同はまだ好く喞筒の遣(つか)ひ方に慣(な)れぬと覚しく、管から迸出する水を思ふ所に遣らうとするには、まだ余程困難らしい有様が明かに見える...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...その例に洩るることがありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...裾を洩るる赤い襦袢...
野村胡堂 「礫心中」
......
正岡子規 「俳人蕪村」
...破戸(やれど)の隙間洩る白い光は如月(きさらぎ)の暁(あけ)に近い残月であった...
吉川英治 「剣の四君子」
...木の間洩る月光の下に...
吉川英治 「三国志」
...朗(ろう)として洩るるお唇(くち)ずさみをきいて...
吉川英治 「私本太平記」
...ここでもう充分結構でございます」「寒風が洩る――」と...
吉川英治 「親鸞」
...雨の日は雨こそ洩るが...
吉川英治 「親鸞」
...すき洩る現代の空気も音響も一切遮断しているのだ...
吉川英治 「随筆 新平家」
...花洩る微かな曙光(しょこう)のような色も見えた...
吉川英治 「源頼朝」
...遠く来つ友もはるけく出でて来て此処に相逢ひぬ笑みて言(こと)なく無事なりき我にも事の無かりきと相逢ひて言ふその喜びを酒のみの我等がいのち露霜の消(け)やすきものを逢はでをられぬ湖(うみ)べりの宿屋の二階寒けれや見るみずうみの寒きごとくに隙間洩る木枯の風寒くして酒の匂ひぞ部屋に揺れたつ十一月二日...
若山牧水 「木枯紀行」
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