...又しかし又泰然と偶像になり了(おお)せることは何びとにも出来ることではない...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...いかにも金がたんまりあるかのように泰然と落着くことにした...
井上貞治郎 「私の履歴書」
...五十四万石の大守細川侯ばかりは泰然としてゐた...
薄田泣菫 「茶話」
...潮流は、四方から、急流をなして、あの大渦巻に、吸寄せられているさまは、見事なものですな……」人々の驚愕(きょうがく)、悲鳴をよそに、二人の科学者は、泰然として、世にも不思議な海洋中の大渦巻に見惚(みと)れている...
寺島柾史 「怪奇人造島」
...見くびった眼つきで泰然と彼をながめた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...泰然と死に臨む者こそ讃むべき哉である...
豊島与志雄 「生活について」
...予言者フランスがつっ立って泰然と構えているのを...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...此のたびは泰然としてはかなふまじと...
内藤湖南 「寧樂」
...」と泰然として瞬き一ツせず却て僕の顔を見返した...
永井荷風 「申訳」
...泰然として坐りこんでみたものの...
中里介山 「大菩薩峠」
...ところが和尚(おしょう)泰然として平気だと云うから...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...神田中のいい娘は一人残らず親類筋のような気でいるんだろう」平次は相変らず泰然として...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...猛火の中に泰然と坐り込み...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...今や泰然とウイスキー・ソーダーの杯をあげている様子だから...
久生十蘭 「魔都」
...一端盃を手にしたとなると恰で風格が変つてしまつたかの如く泰然として...
牧野信一 「沼辺より」
...未納 ああ(泰然と手を差出す)昌允 手を洗って来いよ...
森本薫 「華々しき一族」
...はやくから自分の死期を知って泰然とそのときを待っているというところがあった...
山本周五郎 「日本婦道記」
...泰然と事にたち向かったとすればいさましい...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
便利!手書き漢字入力検索