...飲めるのは僅に喉(のど)を沾(うるほ)すに足る程の少量である...
芥川龍之介 「芋粥」
...大旗空しく飜つて哀涙袂を沾す...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...二口三口喉(のど)を沾(うるお)した...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...乘りおくれたるものは、浪にうたれて、衣袂悉く沾ふ...
大町桂月 「金華山」
...柔かな細(こまか)い雨が常に私の旅の衣を沾(うるほ)して居た...
田山録弥 「春雨にぬれた旅」
...いつの間にか船首をめぐらせる端艇小さくなりて人の顔も分き難くなれば甲板(かんぱん)に長居は船暈(ふなよい)の元と窮屈なる船室に這(は)い込み用意の葡萄酒一杯に喉を沾(うるお)して革鞄(かばん)枕に横になれば甲板にまたもや汽笛の音...
寺田寅彦 「東上記」
...木下はいつのまにか眼を沾ましていた...
豊島与志雄 「二つの途」
...否(しから)ザレバ鳥啼(ちょうてい)虫吟(ちゅうぎん)沾沾(ちょうちょう)トシテ自(みずか)ラ喜ビ佳処(かしょ)アリトイヘドモ辺幅(へんぷく)固已(もと)ヨリ狭シ...
永井荷風 「小説作法」
...まるでその皮膚は處女を失つた當座でゝもあるかのやうな沾みに富んでゐるとかなどゝ...
牧野信一 「痴日」
...*榎の梢に霰のやうに飛んでゐた玉虫! あそこでは光りに沾れた青葉の上に...
牧野信一 「冬日抄」
...夜露を湛へた露草のやうに沾(うる)んでゐました...
牧野信一 「蛍」
...読者にとつてはおそらく満足に堪へられぬ泉の水に胸を沾ほされる悦びに違ひありません...
牧野信一 「浪曼的月評」
......
正岡子規 「俳人蕪村」
...ただし地に落ちて沙に沾(ぬ)れず〉とあるは...
南方熊楠 「十二支考」
...もろ/\の草木を沾(うるほ)すに足りなむ...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...沾れるから上げておくれようなどと下から聲をかけると...
柳田國男 「瀬戸内海の島々」
...だから夏分は肌がいつも沾(ぬ)れている...
柳田国男 「木綿以前の事」
...辛(かろ)うじて木葉の雫(しずく)で咽(のど)を沾(うる)おすようになったといって...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
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