...順々に師匠の唇を沾(うるほ)した...
芥川龍之介 「枯野抄」
...温かな涙の露に彼女の頬を沾した...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...われは頬(ほ)の邊の沾(うるほ)ふを覺えき...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...覺えず法衣を沾(うるほ)し申しぬ...
高山樗牛 「瀧口入道」
...猶道未沾唇」(無門関第十則 清悦孤貧頌)――来た来た...
種田山頭火 「一草庵日記」
...柔かな細(こまか)い雨が常に私の旅の衣を沾(うるほ)して居た...
田山録弥 「春雨にぬれた旅」
...草の茂りたる中を衣手しとゞに沾れて八瀬の里へ下らむと...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...陽春二三月 楊柳斉作レ花春風一夜入二閨闥一楊花飄蕩落二南家一含レ情出レ戸脚無レ力 拾二得楊花一涙沾レ臆秋去春来双燕子 願銜二楊花一入二裏一灯の下に横座りになりながら...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...月の雫に袂を沾ほされる容易ならぬおもひであつた...
牧野信一 「月評」
...ローラも涙に沾(ぬ)れた顔を直すためにニテイ・ケースを膝の上に取りあげると一心になつて鏡をのぞきはぢめた...
牧野信一 「南風譜」
...物哀しく沾んで映ります...
牧野信一 「舞踏会余話」
...堪らない冷汗ばかりに沾(うるほ)はされるだけだつた...
牧野信一 「山を越えて」
... 折つて後もらふ声あり垣の梅沾徳(せんとく)といふ句は意匠卑俗にして取るに足らずといへども...
正岡子規 「俳諧大要」
......
正岡子規 「俳人蕪村」
...実際そんなに沾れ粘るなら沙塵が着き...
南方熊楠 「十二支考」
...ただし地に落ちて沙に沾(ぬ)れず〉とあるは...
南方熊楠 「十二支考」
...土俵場(どひょうば)は雨に沾(ぬ)れて人影もなく...
柳田国男 「木綿以前の事」
...辛(かろ)うじて木葉の雫(しずく)で咽(のど)を沾(うる)おすようになったといって...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
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