...そのまた彼の頭の上には真鍮(しんちゅう)の油壺(あぶらつぼ)の吊(つ)りランプが一つ...
芥川龍之介 「彼」
...調色板(パレット)は乱雑に投げ出されて油壺のリンシード・オイルは床の上に零(こぼ)れ...
大阪圭吉 「闖入者」
...左手に持ったままの調色板(パレット)の油壺から零(こぼ)れ落ちた油を...
大阪圭吉 「闖入者」
...細君の足音が此方に聞えた時手紙とハンケチとは急がしく袂の中に隱されて石油が油壺の中に注がれる...
高濱虚子 「俳諧師」
...鶴子さんは左あらぬ振をして反古で油壺を拭く...
高濱虚子 「俳諧師」
...もう油壺などは問題にならないはずであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...それで油壺を抛り出して追いかけて...
中里介山 「大菩薩峠」
...お雪は戸棚の隅から油壺に入れた椿の油を取り出して...
中里介山 「大菩薩峠」
...水のなかに紛れ込んだ一雫(ひとしずく)の油は容易に油壺(あぶらつぼ)の中へ帰る事は出来ない...
夏目漱石 「虞美人草」
...殊に樹木の間から見下す油壺の風景は素晴らしかった...
西尾正 「墓場」
...蔵に寄せて積みあげた油壺や油甕のあいだで蟋蟀が鳴いている...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...青黝(あおぐろ)い背を光らせながらサラサラと草を押しわけてそばに積んである油壺の中へニョロリと入ってしまった...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...はぢめの半年は小田原の郊外に移つてゐたが古なぢみの酒友が仲善くて、返つて飲む日が多くなるので、いつそわたしは思ひ切つて、全くはぢめての土地である三浦半島に移つて、横須賀に寓居を定め、金沢、浦賀、三崎、城ヶ島、油壺などゝ、歩いては泊り、泊つては歩いた...
牧野信一 「或るハイカーの記」
...油壺の水族館の砂浜で二日酔のあたまを醒しながら海を眺めてゐると...
牧野信一 「書斎を棄てゝ」
...油がきれたから油壺に石油を充すとか...
牧野信一 「ランプの便り」
...丹三郎が油壺を持っておりてゆき...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...火を呼んだ油壺のように...
吉川英治 「平の将門」
...油壺を持ったまま...
吉川英治 「宮本武蔵」
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