...正義等は悉(ことごと)く多数者の為に没却せられてしまふ...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「少数と多数」
...或は又個性及び個人の特長を没却するといふことでもない...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「婦人解放の悲劇」
...個人を没却する大都会の生活は彼の心に染まなかったが...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...それらはしずかに彼の住んでいる街と村と国とを没却した...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...書く小説も文章も皆笑い声の中に没却されてしまった...
田山花袋 「少女病」
...あるいはむしろ初から古今の区別が没却せられているように見えることすらもないではない...
津田左右吉 「日本上代史の研究に関する二、三の傾向について」
...ルネサンスの精神を没却せんとするようになって来たのである...
津田左右吉 「歴史の学に於ける「人」の回復」
...諸文化のジャーナリスティックな本性とが没却されて...
戸坂潤 「思想としての文学」
...一切の主観を――没却することが自然主義客観描写の根本となる...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...主体が没却されて...
豊島与志雄 「性格批判の問題」
...彼の長所を没却して...
中里介山 「大菩薩峠」
...理性を没却し常識に追放され...
牧野信一 「鱗雲」
...「頭の中へ持ち応えてゐる六ヶ敷い仕事!」も「愉快な韻文的空想!」も「架空の物語!」も「眼の前の細事は一切没却した広大無辺な無呵有の空に咽んでゐた筈の忘我の詩境!」も「ナンシー・リー」も「電話!」も「怖ろしい吹雪!」も「たゞ見る一面の雪景色!」も「……一気呵勢!」も...
牧野信一 「雪景色」
...ただ理屈のために文学を没却せらるること莫(なか)れ...
正岡子規 「俳諧大要」
...全然没却されてしまうものではない...
三上義夫 「文化史上より見たる日本の数学」
...その事に関連した利害得失を没却し尽し...
三好十郎 「俳優への手紙」
...実用性と現代性を没却してゐない...
吉野秀雄 「秋艸道人の書について」
...この対立はやがて美術文芸の潮流の内に王朝の流風を追う表現法と極度に官能的要素を没却する表現法との対峙となって現われるのである...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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