...没却すべからざる特質を有しているからである...
芥川龍之介 「松江印象記」
...だが一方において人間性を没却したことは...
海野十三 「十八時の音楽浴」
...ここに選挙の真意義は全く没却さるるに至ったのである...
大隈重信 「選挙人に与う」
...書く小説も文章も皆笑い声の中に没却されてしまった...
田山花袋 「少女病」
...あるいはむしろ初から古今の区別が没却せられているように見えることすらもないではない...
津田左右吉 「日本上代史の研究に関する二、三の傾向について」
...そうでなければインテリゲンチャの特有な社会的役割は没却され...
戸坂潤 「科学論」
...自我を没却して現実の真に肉薄しようという態度から...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...人物の性格は殆ど没却されて単に傀儡となり...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...自分の文章の特色を没却することを意味するのでは断じてない...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...彼の長所を没却して...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかも宰邑は世間に没却された山地で...
中村憲吉 「頼杏坪先生」
...俗務のために没却(ぼっきゃく)されない...
新渡戸稲造 「自警録」
...独創性を没却して文学作品を論ずることは不可能である...
平林初之輔 「文学方法論」
...理性を没却し常識に追放され...
牧野信一 「鱗雲」
...全然没却されてしまうものではない...
三上義夫 「文化史上より見たる日本の数学」
...その事に関連した利害得失を没却し尽し...
三好十郎 「俳優への手紙」
...誰にも省みられなくなった原因は特色の没却...
柳田國男 「書物を愛する道」
...この対立はやがて美術文芸の潮流の内に王朝の流風を追う表現法と極度に官能的要素を没却する表現法との対峙となって現われるのである...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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