...没却すべからざる特質を有しているからである...
芥川龍之介 「松江印象記」
...その主体性を没却せる...
浅沼稲次郎 「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」
...あえてこれを没却して科学の国際性に眼を蔽うものの現われるに至ったのは...
石原純 「社会事情と科学的精神」
...或は又個性及び個人の特長を没却するといふことでもない...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「婦人解放の悲劇」
...これ既に芸術の第一義を没却したるものなり...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...又は自己を没却して了はなければ他が完全に浮び上つて来ないやうな事実...
田山録弥 「自他の融合」
...他方では一人一人に生きた個性をもった人間の踊り子が画面ではほとんどその個性を没却して単に無意味な線条を形成している...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...自我を没却して現実の真に肉薄しようという態度から...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...自分の文章の特色を没却することを意味するのでは断じてない...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...すべて光仙林のうちに没却してはいますけれども...
中里介山 「大菩薩峠」
...モンペとしてはステーブルファイバーでは地方色の趣味が没却される点もあるが然し時節柄の意味に於て国産ステーブルファイバーを以て試製させて見た...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...私は復た櫟林に没却して此の静かな村の空気を吸はねばならぬことになつた...
長塚節 「隣室の客」
...独創性を没却して文学作品を論ずることは不可能である...
平林初之輔 「文学方法論」
...理性を没却し常識に追放され...
牧野信一 「鱗雲」
...没却されてしまった...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...その事に関連した利害得失を没却し尽し...
三好十郎 「俳優への手紙」
...ところが、古典平家やその他の諸本にも、彼のそうした半面は、ほとんど、没却されている...
吉川英治 「随筆 新平家」
...この対立はやがて美術文芸の潮流の内に王朝の流風を追う表現法と極度に官能的要素を没却する表現法との対峙となって現われるのである...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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