...中の一人が沓脱(くつぬ)ぎへ勢いよく飛んで下りたのとが...
芥川龍之介 「開化の良人」
...東京と云へば、私は直ぐ、須田町――東京中の電車と人が四方から崩(なだ)れる様に集つて来る須田町を頭脳(あたま)に描くが、アノ雑沓の中で、菊池君が電車から降りる……否、乗る所を、私は余程(よつぽど)遠くからチラリと後姿を……無理だ、無理だ、電車と菊池君を密接(くつつ)けるのは無理だ……...
石川啄木 「菊池君」
...夏のはじめにいたりてやう/\冬履(ふゆげた)稿沓(わらくつ)をすてゝ草履(ざうり)せつたになり...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...そのザブ(雑沓)のざわめきが...
高見順 「いやな感じ」
...店の雑沓(ざっとう)ゆえに少し大胆になり...
太宰治 「姥捨」
...「くそ」広巳の眼は脱沓(くつぬぎ)の方へ往った...
田中貢太郎 「春心」
...ふと信州沓掛星野にある私共の小家に小野田さんを伴ひ度いといふ考へが...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...其の宛轉たる各節は盡く重沓して...
内藤湖南 「學變臆説」
...燈火の明るさと年の暮の雑沓(ざっとう)と...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...沓脱の下には錢形の平次...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...急ぎ足に沓脱(くつぬぎ)へ下りて格子戸に添ひし雨戸を明くれば...
樋口一葉 「わかれ道」
...場所は東京駅前の雑沓...
火野葦平 「花と龍」
...通行の人馬の古沓(ふるぐつ)などが引掛けてある...
柳田国男 「山の人生」
...間もなく宿の廂の下から藁沓を穿いた橇の主が出て来ると...
横光利一 「旅愁」
...街は夕方に向つて散歩する露支人の雑沓を増し...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...馬の沓は切り棄てにいたせよ...
吉川英治 「新書太閤記」
...沓石(くつぬぎ)に居て...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...馬(うま)の沓(くつ)一――すでに巌流のやしきへは...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索