...車の輪も廻(まは)らぬほど雑沓(こみあひ)たり...
饗庭篁村 「隅田の春」
...南京路(ナンキンろ)の雑沓(ざっとう)が展開しているのだった...
海野十三 「見えざる敵」
...)わたしがこの上沓に鬱金香の繍取(ぬいとり)をさせられたのは...
ストリンドベルヒ August Strindberg 森鴎外訳 「一人舞台」
...沓脱石の上に蛇が...
太宰治 「斜陽」
...二人は夢中で語り合ひながらいつしか仲店の雑沓の間に交つて行く...
谷崎潤一郎 「戯曲体小説 真夏の夜の恋」
...御代田駅まで歩く、一里半、沓掛まで汽車、それから歩けるだけ歩いた...
種田山頭火 「旅日記」
...しかしやはり前日家人と沓掛(くつかけ)行きの準備について話をしたとき...
寺田寅彦 「三斜晶系」
...二人は沓掛に急行し...
豊島与志雄 「浅間噴火口」
...旅客が先きを争うて渡るので広い川原も怖しいほど雑沓した...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...風月堂にて晩餐をなし銀座通の雑沓を過ぎて家に帰る...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...その沿岸の商家倉庫及び街上橋頭(きょうとう)の繁華雑沓(ざっとう)と合せて...
永井荷風 「日和下駄」
...市中(しちう)は大分雑沓してゐた...
夏目漱石 「それから」
...お沓を……」「これは慮外(りょがい)であった...
室生犀星 「花桐」
...醫院は午前中立てこんでゐて玄關の沓脱石は靴の列で...
室生犀星 「はるあはれ」
...眼鏡拭きを持って玄関へ行くと沓脱ぎの上へ向うむきにステッキを突いて立っていた父は履物か何かのことで女中の福に小言を云うていたが...
矢田津世子 「父」
...藁沓では先を細かく丁寧に編んだのがあって...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...同ホテルを中心とする丸の内一帯は引続き戦場の如き雑沓を極めおり...
夢野久作 「暗黒公使」
...声をひそめて浮き上った彼女の典雅な支那沓(ぐつ)が...
横光利一 「上海」
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