...思ひあがりたる渾沌があるのみである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...各種元素より成る無限に広大な一団の渾沌たる混合物から無数の天体が生ぜられたと説いている...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...思想界は混沌として帰着するところを知らざるに至ったのである...
大隈重信 「始業式に臨みて」
...天地混沌如二鶏子一...
高木敏雄 「比較神話学」
...混沌の特産物である自己嫌悪...
太宰治 「惜別」
...しばらくは混沌としてゐた...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...あるものは混沌とした一般的なるものでしかない...
戸坂潤 「思想としての文学」
...混沌(こんとん)の闇(やみ)に明るき時をつくり...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...すなわち、自分が人間であって、ピアノの鍵盤でないということを、本当に確信するだろう! 諸君はことによったら、そんなものはみんな、混沌も、暗黒も、呪詛も、すべて表によって計算できるから、この予備的計算の可能ということだけでも、いっさいを阻止することができ、結局は理性の勝利に終わるだろう、などといわれるかもしれないが、――そうすれば、人間はわざと気ちがいになって、理性をもたないようにしてでも、自分の主張を貫徹するだろう! わたしはそれを信ずる...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...自然のうちになお存する多くの混沌(こんとん)たるものを観察した...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...すべての意識は混沌としてゐた...
南部修太郎 「疑惑」
...この短い詩形の中へ当時の環境から感得した名状すべからざる混沌感を捺印するのであるから...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...混沌たる文学理論を体系化しようとし...
平林初之輔 「文学の本質について(一)」
...渾沌たるほとんど見分けられない廃墟の間に...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「しめしあわせ」
...混沌としたしかも漠然としたその曲全体を感じる...
宮城道雄 「山の声」
...(ウェルギリウス)あのように混沌とした無政府状態の中で...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...混沌は さぶし かつた虚無は 飢えてきたのだある日...
八木重吉 「秋の瞳」
...散乱昏沌(こんとん)としてことごとくその所在を変えおのれの位置を失った……真実だったと見えたものが虚偽の正体を曝露し...
山本周五郎 「夜明けの辻」
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