...葉子の心はただ渾沌(こんとん)と暗く固まった物のまわりを飽きる事もなく幾度も幾度も左から右に...
有島武郎 「或る女」
...宇宙はその始め質点の完全に均等な渾沌的分布であったということから出発している...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...各種元素より成る無限に広大な一団の渾沌たる混合物から無数の天体が生ぜられたと説いている...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...またあるときは再び四散して渾沌たる無秩序に帰ると考えていたらしい(一〇二頁デモクリトスの説参照)...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...天地の判るるに非ずして、混沌の判れて、天地となるなり...
高木敏雄 「比較神話学」
...混沌として何物もなし...
種田山頭火 「旅日記」
...二つの少し込み合った映像の重合したものはただ混沌(こんとん)たる夢のようなものにしか見えない...
寺田寅彦 「耳と目」
...大勢の人間から発せられる混沌とした騒音や...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...こういう渾沌状態を巧にいい現わしている...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...破片となり塵芥(じんかい)となり渾沌(こんとん)たるものとなってしまった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...混沌たる明治文明の赴くところは大正年間十五年の星霜を経由して遂にこの風俗を現出するに至ったものと看るより外はない...
永井荷風 「申訳」
...また奈何にお房の匂を慕ツて心が混沌(こんとん)としてゐたからと謂へ...
三島霜川 「平民の娘」
...「支那(しな)でも政界の混沌(こんとん)としている時代は退(しりぞ)いて隠者になっている人も治世の君がお決まりになれば...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...頭の中は頗る混沌としてゐる...
森鴎外 「半日」
...(a)わたしはここに混沌として決(きま)りのつかないもろもろの感想を...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...混沌の蔓の最先(いやさき)にわななく青き神秘の花として開き...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...既知のいかなる人類も猿の世界から蹌踉き出ていなかった遠い昔に混沌たる地殻の痙攣のただ中ですっかり失われてしまい...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...人生は混沌...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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