...東西南北は一つの鉢(はち)の中ですりまぜたように渾沌(こんとん)としてしまった...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...オヴィドがその著メタモルフォセス(Metamorphoses)の中に述べているところによると始めにはただ秩序なき均等な渾沌...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...およそ事物は発生当時は渾沌(こんとん)として唯一である...
大隈重信 「日本の文明」
...社会の渾沌(こんとん)たる有様を想像する度に...
大隈重信 「文明史の教訓」
...整然とした他界のものゝやうに並べて見せ夜の祕密は大きな重々しい混沌とした土塊の中に一杯附着したダイヤモンドのやうに暗きを好んで異樣に輝き燈の中に浮んで來る人の顏は恐く...
千家元麿 「自分は見た」
...自然と人間の大渾沌のまんなかから...
豊島与志雄 「「草野心平詩集」解説」
...そは空想と欲念と企画との混沌界(こんとんかい)であり...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...その筆致のうちに混沌(こんとん)たるものを有する力強い画家を要する...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...破片となり塵芥(じんかい)となり渾沌(こんとん)たるものとなってしまった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...混沌たる明治文明の赴くところは大正年間十五年の星霜を経由して遂にこの風俗を現出するに至ったものと看るより外はない...
永井荷風 「申訳」
...さうして「乱れ髪」はその混沌たる発酵時代を代表してゐるのである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...非暴力的手段によるスワラジは混沌や無政府の介在を意味しない...
エム・ケー・ガンヂー 福永渙訳 「非暴力」
...フランス革命に影響されて混沌たる状態にある時勢を論じた一つのパンフレット1)を書いた...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...空しく渾沌としていっぱいになっていた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...また奈何にお房の匂を慕ツて心が混沌(こんとん)としてゐたからと謂へ...
三島霜川 「平民の娘」
...それで私は今混沌と云ふことをお話するのです...
森林太郎 「混沌」
...ソクラテスの学説もまた同じように混沌としている...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...これなくしては人は意識の混沌と欲求の分裂との間に萎縮しおわらなくてはならぬ...
和辻哲郎 「『偶像再興』序言」
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