...しかしその沈着にも係わらず...
有島武郎 「或る女」
...吶々(とつとつ)として、しかも沈着に、純真に、縷々(るる)この意味の数千言を語ったのが、轟々(ごうごう)たる汽車の中(うち)に、あたかも雷鳴を凌(しの)ぐ、深刻なる独白のごとく私たちの耳に響いた...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...沈着にせい」と云うて命令しとる様な様子が何やらおかしい思われた...
岩野泡鳴 「戦話」
...沈着にせい』云うて進んで行くんやさかい...
岩野泡鳴 「戦話」
...やれ! 沈着に発砲せい!』『よろしい!』て...
岩野泡鳴 「戦話」
...沈着にせい』の立ち姿が黒いばかりで分らない...
岩野泡鳴 「戦話」
...中尉は生死の間にも沈着に見当をつけた...
海野十三 「二、〇〇〇年戦争」
...おまきさんは大胆に沈着に自分の役割を果たしました...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...沈着にまた用心深くたどるのであった...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「青玉の十字架」
...私はすっかりもとの沈着にかえっていた...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...先づ冷静沈着に其の云ふべき処の何物たるかを反省し...
永井荷風 「谷崎潤一郎氏の作品」
...それで少々得意になったので外国へ行っても金が少なくっても一箪(いったん)の食一瓢(いっぴょう)の飲然と呑気(のんき)に洒落(しゃらく)にまた沈着に暮されると自負しつつあったのだ...
夏目漱石 「倫敦消息」
...しかるに妻君はそれがこの場所にあるゆえんを沈着に釈義した...
久生十蘭 「黒い手帳」
...Every body for himself ――こうなると、ライタアやゴルフ・クラブ――尤も当時まだライタアはなかったが――より他重い物一つ持ったことのない紳士連中と、四六時中生命を的の仕事をしている水火夫達と、何方が沈着に、どっちが英雄的に、そして何方が生き抜く力を有っていたか...
牧逸馬 「運命のSOS」
...平静沈着に達するのは不可能だ...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...なかなか沈着によくやっているらしくてうれしいと思います...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...それほど沈着にそれほど大きくバックが立つていた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...沈着にその事を処置した...
吉川英治 「三国志」
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