...北条丸(ほうじょうまる)の沈んだのも...
芥川龍之介 「報恩記」
...ずしりという沈んだ物音...
泉鏡花 「悪獣篇」
...大野は軍人のやうな直立の姿勢に直り、右の手を横顏のところまであげ、ゆツくりした、低い、沈んだ調子で、同じく、「失敬」と云つて、靴の底で少しつま立つと同時に、首を前方へ傾けた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...先刻(さっき)男湯で沈んだお客の体が見つかったとき...
海野十三 「電気風呂の怪死事件」
...この終局はなんであろう? 彼の心は沈んだ...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...沸騰(ふっとう)する飛沫に、翻弄(ほんろう)され、そのまま碧(あお)い水底に沈(しず)んで行くかと思われましたが、不意と、ぽッかり赤い表紙が浮(うか)び、浮いたり、沈んだり、はては紅い一点となり、消えうせ、太平洋の藻屑(もくず)となった...
田中英光 「オリンポスの果実」
...大きな沈んだ瞳(ひとみ)...
近松秋江 「黒髪」
...彼を老人に見えさせるあの思いに沈んだような考え込んでいるような様子は...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...流れに沈んだ晝の月を見るやうだとか...
長谷川時雨 「鏡二題」
...浮いたり沈んだりしながら...
久生十蘭 「雲の小径」
...そこに漂流物のように浮いたり沈んだりして見えるその夫人に近づいて行きながら...
堀辰雄 「聖家族」
...今迄の沈んだ心が急に明るく/\輝きました...
牧野信一 「蛍」
...豚吉とヒョロ子が沈んだ川の水の底からはグルングルングルグルグルと噴水のように湯気や泡が湧き出して...
夢野久作 「豚吉とヒョロ子」
...何事をも起りそうもない沈んだ静かさのうちに...
室生犀星 「香爐を盗む」
...経之はいやな沈んだ気分から...
室生犀星 「野に臥す者」
...どこまで沈んだかをしるして置いて...
柳田国男 「母の手毬歌」
...張り裂けるほど充実感銘させていた事と思う」寂(さ)び沈んだ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...背の波は一せいにまたしいんと沈んだ...
吉川英治 「私本太平記」
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