...地中海の汐風に吹かれ来しこの友の美髯(びせん)...
石川啄木 「閑天地」
...即(すなは)ち普通(ふつう)の潮汐(ちようせき)は一晝夜(いつちゆうや)に二回(にかい)の干滿(かんまん)をなすだけであつて...
今村明恒 「地震の話」
...脆(もろ)くも破れて空しく一族の血汐(ちしほ)を平等院(びやうどうゐん)の夏草(なつくさ)に染めたりしは...
高山樗牛 「瀧口入道」
...枝葉(しよう)汐風(しおかぜ)に吹きたわめて...
太宰治 「惜別」
...・ふるさとの夢から覚めてふるさとの雨入川汐みちて出てゆく船窓が夕映の山を持つたこの宿のおかみさんはとても醜婦だ...
種田山頭火 「行乞記」
...ばくち打の秘訣(第百二十六段)を引いて物事には機会と汐時(しおどき)を見るべきを教えている...
寺田寅彦 「徒然草の鑑賞」
...犇々(ひし/\)と上げくる秋の汐は廂(ひさし)のない屋根舟を木の葉のやうに軽くあふつて往来と同じ水準にまで擡(もた)げてゐる――彼はそこに腰をかけた...
長與善郎 「青銅の基督」
...「あツ」折からの上汐(あげしほ)...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...血汐の中に息が絶えておりました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「閉(しま)りは無い」ズイと入ると、中は埃だらけの疊が十五六枚、祭壇のあたりには何の變化もありませんが、その後ろの方に廻ると、いろ/\の祭具が積み重ねてあり、片隅に引寄せられた大長持が一と棹(さを)、傍に寄つて見ると、「あツ血」外から輪鍵をかけて、眞上の隙間から眞つ直ぐに突つ立てた大太刀が一本、鍔際(つばぎは)まで呑まれて、斑々たる血汐が、長持の方から流れ出して居るではありませんか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...障子に汐(しお)のようにしぶいて来る...
林芙美子 「魚の序文」
...汐風(しおかぜ)が胸の中で大きくふくらむ...
林芙美子 「新版 放浪記」
...○朝汐(あさしお)負け...
正岡子規 「墨汁一滴」
...暴風雨で高汐(たかしお)が来て...
山本周五郎 「青べか物語」
...汐干狩の客の多いことは云(い)うまでもない...
山本周五郎 「青べか物語」
...ぶちまけたように一面の血汐(ちしお)です...
吉川英治 「江戸三国志」
...「この忙がしい汐時(しおどき)に...
吉川英治 「剣難女難」
...『汐(しお)くみ』とか...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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