...汐入町(しおいりちょう)を土手(どて)へ出て...
泉鏡花 「海の使者」
...遂(つひ)に上汐(あげしほ)が勝(かち)を占(し)め...
今村明恒 「地震の話」
...そのうちに私も汐田も高等学校を出て...
太宰治 「列車」
...汐風の、すこしはなれてマブの花・地べたべつとりと浜朝顔の強い風・やけあと何やら咲いてゐる・わがまゝきまゝな旅の雨にはぬれてゆく・松のなか墓もありて・つかれた顔を汐風にならべて曲馬団の女らやたらにとりちらかしてお祭の雨となつた雨となつた枇杷の実の青い汐風・山しづかにしてあそぶをんなつたうてきては電線の雨しづくしては警察署の木の実のうれてくる五月十六日まだ降つてゐる、残酒残肴を飲んで食べる、うまい/\、そしてM氏のために悪筆を揮ふ...
種田山頭火 「行乞記」
...里芋)・朝風の簑虫があがつたりさがつたり・バスも通うてゐるおもひでの道がでこぼこ・役場と駐在所とぶらさがつてる糸瓜・かるかやもかれ/″\に涸れた川の・秋日あついふるさとは通りぬけよう・おもひでは汐みちてくるふるさとの渡しふるさとや少年の口笛とあとやさきふるさとは松かげすゞしくつく/\ぼうし・鍬をかついで...
種田山頭火 「行乞記」
...長府の海岸は汐干狩の人々で賑うてゐた...
種田山頭火 「道中記」
...寒汐(さむしお)に漂うたら...
寺島柾史 「怪奇人造島」
...じめじめした汐風(しおかぜ)に...
徳田秋声 「足迹」
...二百万の人の海にさす潮(しお)ひく汐(しお)の余波が村に響いて来るのは自然である...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...上汐のために殊更(ことさら)水面の高くなった橋の下を潜行(くぐりゆ)く舟の中から見上る時...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...ながれるごとき涙にぬれ私はくちびるに血汐をぬる...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...(十一月×日)遠雷のような汐鳴(しおな)りの音と...
林芙美子 「新版 放浪記」
...嘗て文明開化の象徴だつたこの新橋ステーションの汐留駅は...
正岡容 「大正東京錦絵」
...全身血汐と傷とにおおわれながら...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...「――三月の大汐のときだったな」「川崎の大師からまわったんだ」と云って栄二はさぶに振り向いた...
山本周五郎 「さぶ」
...「例年の通りにてよろしゅうござりましょうか」「啓之助(けいのすけ)に任せておけ、森に」「は、京都よりのお荷物は、あれだけで余(よ)の物はござりませぬか」「ない」「それから、汐の都合で、卍(まんじ)丸は明日の暁(あかつき)に纜綱(ともづな)を解きまする...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...孫兵衛にはあの秘冊(ひさつ)に血汐(ちしお)の細字で綴(つづ)られている隠密組の隠語が読めないのであった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...上げ汐(しお)に乗って...
吉川英治 「宮本武蔵」
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