...と硝子杯(コップ)を火に翳(かざ)してその血汐(ちしお)のごとき紅(くれない)を眉に宿して...
泉鏡花 「婦系図」
...その汐吹のマスクをとったあとに現れた西洋人の顔! 今の今まで...
海野十三 「怪塔王」
...汐田は入学当時こそほんの二三回そこへ寄って呉(く)れたが...
太宰治 「列車」
...日本帝国のために血汐を流している...
田山花袋 「一兵卒」
......
峠三吉 「原爆詩集」
...結婚の話を持ち出す汐(しお)を失い...
徳田秋声 「縮図」
...夕風と夕汐のこの刻限を計って千石積(せんごくづみ)の大船はまた幾艘(いくそう)となく沖の方から波を蹴(け)ってこの港口へと進んで来る...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...残る蚊に額さされしわが血汐...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...この潮時を別当汐(べっとうじお)と名づけるようになったという話がある」お前たちより犬の方が思慮もあり...
中里介山 「大菩薩峠」
...『汐汲む為めとは思へども...
野口米次郎 「能楽論」
...『さしくる汐を汲み分けて見れば月こそ桶にあれ』と地謡は歌ふ...
野口米次郎 「能楽論」
...血汐を拭き淨(きよ)められて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...丁度花時の眞晝の引汐で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...グと身体中の血汐が煮えくり返るような気がしてきて...
正岡容 「小説 圓朝」
...むしろ「鯨の噴(ふ)いた汐が雨となつた」と言ひはなす方よろしかるべく候...
正岡子規 「人々に答ふ」
...気がついてみると干潟の中の汐溜りに残されてしまい...
山本周五郎 「青べか物語」
...色こそ汐(しお)やけで黒いが...
山本周五郎 「青べか物語」
...駿河湾を距てた遥かな空には沖かけての深い汐煙(しおけぶり)のなかに駿河路一帯の雪を帯びた山脈がほの白く浮んで見えて居る...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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