...――血汐を呑(の)みてむなしく敗艦と共に没(かく)れし旅順の黒裡(こくおうり)...
石川啄木 「詩」
...汐(しお)の干た巌(いわ)へ上げて...
泉鏡花 「歌行燈」
...遂(つひ)に上汐(あげしほ)が勝(かち)を占(し)め...
今村明恒 「地震の話」
...一わたし達の勤めている臨海試験所のちょうど真向いに見える汐巻(しおまき)灯台の灯が...
大阪圭吉 「灯台鬼」
...そのうちに私も汐田も高等學校を出て...
太宰治 「列車」
...たとえば験潮儀に記録されたある港の潮汐(ちょうせき)昇降の曲線をレコード盤に刻んでおいてこれを蓄音機にかければ...
寺田寅彦 「試験管」
...狭い堀割へと渦巻くように差込んで来る上汐(あげしお)の流れに乗じて...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...マングローブ地帶に多い・赤と青のペンキを塗つたやうな汐招き蟹なら到る所にゐるが...
中島敦 「環礁」
...毎年八幡様(はちまんさま)のお祭りには屋台が町内へ廻ってくるんだから汐酌(しおく)みでも何でもちゃんと心得ている...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...彼等は汲みいれた汐を車に載せて...
野口米次郎 「能楽論」
...血汐の海の中に突つ伏し...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...一方は五尺ばかりの生垣(いけがき)、一方は黒板塀を前にした下水で、ドブ板の上は、血汐を洗つて、一昨夜(そのよ)の跡もありませんが、源吉に死骸の位置を、細々(こま/″\)と説明させた上、平次は其處から湯屋の入口まで歩いて見ます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...長唄(ながうた)の汐(しお)くみでしたっけかねえ...
長谷川時雨 「木魚の配偶」
...「こんなものを持つてNさん達とこの先の汐干に行つたことがあるわね...
牧野信一 「鶴がゐた家」
...汐(しほ)の中に...
宮原晃一郎 「子良の昇天」
...貞世が過ぎた時まだ「浜の汐干のかた遙なる沖に」あつた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...血汐らしい汚染(しみ)が点々とあるのに気づいて...
吉川英治 「江戸三国志」
...「例年の通りにてよろしゅうござりましょうか」「啓之助(けいのすけ)に任せておけ、森に」「は、京都よりのお荷物は、あれだけで余(よ)の物はござりませぬか」「ない」「それから、汐の都合で、卍(まんじ)丸は明日の暁(あかつき)に纜綱(ともづな)を解きまする...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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