...海老名氏は麺麭(パン)と味噌汁と林檎とで一杯になつた腹を抱へて...
薄田泣菫 「茶話」
...貝の汁がジジジと鉄板に焼きついた...
高見順 「如何なる星の下に」
...いやな汁をいっぱいに含んだ海綿か何かのような笑いだが...
高見順 「如何なる星の下に」
...久し振(ぶ)りの味噌汁(みそしる)で...
田中英光 「オリンポスの果実」
...ことに葱のお汁がおいしかつた...
種田山頭火 「其中日記」
...その汁を水にしみ出さして眼につけると...
豊島与志雄 「黒点」
...そして自らきょうの勤勉をほめながら御褒美にすこし早く夕食の用意にかかって味噌汁をつくり...
中勘助 「島守」
...酒ばかりじや無い、飯から、味噌汁から、何に限らず日本の料理を見ると、私は直ぐ死んだ母の事を思ひ出すのです...
永井荷風 「一月一日」
...味噌ではなくて墨汁でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...その汁(しる)を牛乳の中へたらしている書生がある...
夏目漱石 「野分」
...味噌汁は覗いてもみなかったそうで――」「たったそれだけの事か」「たったそれだけで沢山じゃありませんか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「さア、親分、この下手人は誰です、――一家皆殺しにされるかも知れないと飛んで來た位だから、親分にはわかつて居るでせう」「わかつて居る、――が、縛るわけには行かないのだよ」「ぢや、どうするんです」「默つて歸るのさ、――毒は石見銀山(いはみぎんざん)鼠捕りだ、こいつは味も匂ひも無いから、防ぎやうは無かつたのだらう、別れの酒へうんと入つて居たのさ、あとは汁にも、嘗(な)め物にも打ち込んで居たに違げえねえ、妹のお雪は少しやられたが、子供のお信はケロリとして居る」「誰がそんな事をしたんです、親分」「歸らうよ八、あとは近所の衆や親類方がやつてくれるだらう、明神下まで道は遠い、話しながら歸ると夜半(よなか)になる」平次と八五郎は、この一段落になつた幸右衞門の家を出て、五月の夜の爽やかな町を、靜かに辿りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お茶受けには鮨をつくり、汁粉をつくる...
長谷川時雨 「北京の生活」
...「味噌汁もさつきから煮えとる」道理でいゝ匂ひがした...
林芙美子 「雨」
...岡崎の八丁味噌の汁...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...たんまり利権の汁につかっている実利の地位であったのなら...
宮本百合子 「権力の悲劇」
...せい子がよそって双葉が取次いで渡してやった汁の椀を...
三好十郎 「廃墟(一幕)」
...墨汁師の新年の書信に問合せの結果が記(しる)してあったが...
森鴎外 「渋江抽斎」
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