...わたしみたいな気随(きずい)なわがまま者はそんなふうにされたら窮屈で窮屈で死んでしまうでしょうよ...
有島武郎 「或る女」
...淡島屋の妻たるおくみは男勝(まさ)りの利(き)かぬ気であったから椿岳の放縦気随に慊(あきた)らないで自然段々と疎々(うとうと)しくなり...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...その上にこの女は弟と二人ぎりの気随気儘の暮しをしていて...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...平気で世間を相手に気儘気随をおっ通したがる病(やまい)があるんだから...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...気随気儘にそこらを遊びまはる間が...
薄田泣菫 「独楽園」
...ある貧しい人々をあらゆる点でわたし自身とおなじぐらい不自由なく暮らせるようにしてやることによってかれらの気随気儘な生活に対して恩を押しつけようとかんがえ...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...気随気儘(きまま)な事が出来たら...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...気随気儘(きまま)をさせて置く者はありゃしないんだ...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...それと聞いて何という気随な横着な女だろうと呆(あき)れながら...
近松秋江 「うつり香」
...甘(あま)アくなつた純心のいとも気随な兵隊達は子守女と口をきかうとまづその抱ゐてる赤ン坊をあやします...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...山形屋丈太郎と言って、二十七歳、元は本町三丁目に大きい唐物屋を開いて、万両分限の一人に算(かぞ)えられましたが、先代が亡くなる頃から道楽を始めて、家業というものを一切顧みなかった為に、瞬く間に没落して、今は目黒の寮に、昔の栄華は名残ばかり、妙に気随な、その癖骨にも泌みるような貧しい暮しを続けて居るのでした...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...我儘気随に暮して居る浪人...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...どうしたといふのだらう!……気随になさるもよいけれど...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...ヤそんな鄙劣(しれつ)な事は出来ないのとそんな我儘気随(きまま)を言ッて母親さんまで路頭に迷わしちゃア...
二葉亭四迷 「浮雲」
...気随気儘の大阪弁の卓袱料理を創造した畸才縦横の料理人こそ...
正岡容 「初代桂春団治研究」
...読書よりはおのが気まゝ気随に遊びて暮すを好ましく思へども...
正岡子規 「読書弁」
...自分の家でやっている気随気ままな言葉や態度をそのままお歴々がたの前にさらけ出しては...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...気随気ままに任せています...
吉川英治 「江戸三国志」
便利!手書き漢字入力検索