...遠藤は殆ど気違いのように...
芥川龍之介 「アグニの神」
...気違いのように母を撲(ぶ)とうとした...
芥川龍之介 「お律と子等と」
...別嬪(べっぴん)の気違いだ』と...
芥川龍之介 「奇怪な再会」
...(こいつは、気違いだ...
芥川龍之介 「仙人」
...戦争しとる時は皆気違いや...
岩野泡鳴 「戦話」
...女賊の気違いめいた所業を呪ったり...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...一方、人魚をさがしに旅立った中堂金内(ちゅうどうこんない)、鮭川の入海のほとりにたどり着き、村の漁師をことごとく集めて、所持の金子を残らず与え、役目を以(もっ)てそちたちに申しつけるのではない、中堂金内一身上の大事、内々の折入っての頼みだ、と物堅く公私の別をあきらかにして、それから少し口ごもり、頬(ほお)を赤らめ、ほろ苦く笑って、そちたちは或いは信じないかも知れないが、と気弱く前置きして、過ぎし日の人魚の一件を物語り、金内がいのちに代えての頼みだ、あの人魚の死骸を是非ともこの入海の底から捜し出し、或る男に見せてやらなければこの金内の武士の一分(いちぶん)が立たぬのだ、この寒空に気の毒だが、そちたちの全力を挙げてあの怪魚の死骸を見つけ出しておくれ、と折から雪の霏々(ひひ)と舞い狂う荒磯で声をからして懇願すれば、漁師の古老たちは深く信じて同情し、若い衆たちは、人魚だなんて本当かなあと疑いながら、それでも少し好奇心にそそられ、とにかく大網を打って、入海の底をさぐって見たけれども、網にはいって来るものは、にしん、たら、かに、いわし、かれいなど、見なれた姿のさかなばかりで、かの怪魚らしいものは更に見当らず、翌(あく)る日も、またその翌る日も、村中総出で入海に船を浮べ、寒風に吹きさらされて、網を打ったりもぐったり、さまざま難儀して捜査したが、いずれも徒労に終り、若い衆たちは、はや不平を言い出し、あのさむらいの眼つきを見よ、どうしたって普通でない、気違いだよ、気違いの言う事をまに受けて、この寒空に海にもぐるのは馬鹿々々しい、おれはもう、やめた、あてもない海の人魚を捜すよりは、村の人魚にあたためられたほうが気がきいている、と磯の焚火(たきび)に立ちはだかり下品な冗談を大声で言ってどっと笑い囃(はや)し、金内はひとり悲しく、聞えぬ振りして、一心に竜神(りゅうじん)に祈念し、あの人魚の鱗(うろこ)一枚、髪一筋でもいまこの入海から出たならば、それがしの面目はもとより武蔵殿も名誉、共に思うさま百右衛門をののしり、信義の一太刀(ひとたち)覚えたか、とまっこうみじんに天誅(てんちゅう)を加え、この胸のうらみをからりと晴らす事が出来るものを、と首を伸ばして入海を見渡す姿のいじらしさに、漁師の古老は思わず涙ぐんで傍(そば)に寄り、「なあに、大丈夫だ...
太宰治 「新釈諸国噺」
...僕を本物の気違いにしようとしている...
太宰治 「新ハムレット」
...気違いになって帰ってやりたいような気もする...
谷崎潤一郎 「恐怖」
...僕は此の通り気違いになったぜ...
谷崎潤一郎 「恐怖」
...ニコライ・イーリイッチ・ベリヤーエフというのはペテルブルグの家作(かさく)持ちで、競馬気違いで、そして栄養のいいてらてらした顔の、年の頃三十二ぐらいの若紳士であった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「小波瀾」
...その公式からひどく離れるとばかか気違いか天才になるのかもしれない...
寺田寅彦 「数学と語学」
...なるほどこいつは気違いだという事がふに落ちるまでは安心ができないのである...
寺田寅彦 「解かれた象」
...あの老人は気違いで...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...意地っ張りで気違い染みた女でした...
野村胡堂 「芳年写生帖」
...実に気違い染みた考えが私の頭の中を駆け巡りました...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...気違いじみたものらしいな...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...一日中気違いみたいに働いて...
宮本百合子 「「インガ」」
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