...黄なる水湛(たん)として窪(くぼ)みに溜(たま)りをりて臭気紛々として人に逼(せま)る...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...それに「運命」という奴が気紛れもので...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...私は酔うてゐなかつたらその臭気紛々でとても寝つかれなかつたらう...
種田山頭火 「行乞記」
...食事のとき気紛れな口喧嘩をせずにすんだことは一度もなかった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...それがわずかな気紛れな風の戦(そよ)ぎにあおられて小さな渦を巻いたりしていた...
寺田寅彦 「浅草紙」
...」羊三は一つ急ぎのものがあつたので、それを書きあげてから、ゆつくり作業を見てまはらうと思つてゐたのであつたけれど、傍へ来てみると、彼の気紛れで、格別さう見なくてはならないほどの興味も感じなくなつた...
徳田秋聲 「籠の小鳥」
...庸三も自身の気紛(きまぐ)れな行為に疑いが生じた...
徳田秋声 「仮装人物」
...気紛(きまぐ)れな笹村の足はどこという的(あて)もなしにいろいろの方へ嚮(む)いて行った...
徳田秋声 「黴」
...そして気紛れな渦巻き...
豊島与志雄 「山吹の花」
...他のもう一つの気紛れな粟粒なる彗星と衝突することだってあり得るだろうし...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...次第にこの美女の気紛れに我慢がならなくなつて...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...気紛れなハーモニカや一組のトランプなど入つてゐるズツクのバケツを携へたお雪を従へて...
牧野信一 「ダニューヴの花嫁」
...思ひがけなく脱ぎ棄てゝ予期もしなかつた春めきの陽にうつとりとした上句の気紛れな亢奮に違ひなかつた...
牧野信一 「タンタレスの春」
...俗気紛々と致しをり候処はとても唐詩とくらぶべくも無之候へども...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...そしてその為には色々気紛れなことで外から私の安静が乱される条件から離れたい気持が痛切です...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...他人の気紛れや不注意のためにここにまぎれこんだ欠点*については...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...どうかして気紛れに持って出ても...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...更に嗜好や気紛れにも支配される...
デイヴィド・リカアドウ David Ricardo 吉田秀夫訳 「経済学及び課税の諸原理」
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