...妻は櫛部某の卑(いや)しいところに反って気安さを見出している...
芥川龍之介 「死後」
...皆我々の気安さに甚大の注意を払ってくれた...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...不意に肩の荷が除かれたような気安さを与えないでもなかった...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...かういふ宿にかへつて気安さを感じるが(そこをねらつてわざと泊つたのでもあるが)普通の人々――我々の仲間はとても一夜どころか一時間の辛抱も出来まい...
種田山頭火 「行乞記」
...それは作者の名誉にも不名誉にもならないという気安さがある...
寺田寅彦 「二科会展覧会雑感」
...夫婦生活の憂欝(いううつ)と倦怠(けんたい)から解放された気安さだとも解釈されない事もなかつた...
徳田秋声 「のらもの」
...長男のやうな柔軟さと気安さで患者と談笑を交へることは困難であつた...
徳田秋聲 「老苦」
...肉体で了解しあつてゐる気安さで...
林芙美子 「浮雲」
...こだわりのない気安さで母の多いしわを見た...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...遂にはその気安さそのものさえ自分を苦しめ出してくるのだった...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...口に云ひ現すことの出来ない軽い親情が見事に伝へられるやうな気安さを覚えました...
牧野信一 「青白き公園」
...女の無智やあさましさのあらわれているような風がなくなったことは或る気安さにちがいないのだけれど...
宮本百合子 「新しい美をつくる心」
...派出の女のひとをたのむ気安さというものもあります...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...良人には幕内の気安さを説き...
矢田津世子 「旅役者の妻より」
...小巴里(せうパリイ)と謂(い)はれる首府丈(だけ)あつて自分は巴里(パリイ)に帰つた様な気安さを感じた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...我我は先づ何よりも公務や商用で旅行する境遇でないことの気安さを喜んだ...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...どういう小むすめの気安さが...
吉川英治 「私本太平記」
...法師の気安さ」「行くか...
吉川英治 「私本太平記」
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