...お鈴はこの田舎訛りにいつか彼女の心もちも或気安さを持ち出したのを感じた...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...彼女はその気安さの上から不安らしい篤介を見下(みおろ)していた...
芥川龍之介 「春」
...えらい人のいない気安さから向かいの店のうなどんなどをかけてトランプのバクチをやる...
井上貞治郎 「私の履歴書」
...かういふ宿にかへつて気安さを感じるが(そこをねらつてわざと泊つたのでもあるが)普通の人々――我々の仲間はとても一夜どころか一時間の辛抱も出来まい...
種田山頭火 「行乞記」
...夫婦生活の憂欝(いううつ)と倦怠(けんたい)から解放された気安さだとも解釈されない事もなかつた...
徳田秋声 「のらもの」
...長男のやうな柔軟さと気安さで患者と談笑を交へることは困難であつた...
徳田秋聲 「老苦」
...そういう場所にありがちな事もなげな気安さで...
豊島与志雄 「常識」
...肉体で了解しあつてゐる気安さで...
林芙美子 「浮雲」
...体面をつくろうことのいらぬ庶民生活の気安さを...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...口に云ひ現すことの出来ない軽い親情が見事に伝へられるやうな気安さを覚えました...
牧野信一 「青白き公園」
...それに自分が一番高いところにあるといった気安さもあって...
松濤明 「春の遠山入り」
...女の無智やあさましさのあらわれているような風がなくなったことは或る気安さにちがいないのだけれど...
宮本百合子 「新しい美をつくる心」
...派出の女のひとをたのむ気安さというものもあります...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...良人には幕内の気安さを説き...
矢田津世子 「旅役者の妻より」
...女同士の気安さの中に何(なに)やら晴れがまし...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...どういう小むすめの気安さが...
吉川英治 「私本太平記」
...法師の気安さ」「行くか...
吉川英治 「私本太平記」
...宿なし犬に縁の下を貸すくらいな気安さで泊めてはくれるが...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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