...お鈴はこの田舎訛りにいつか彼女の心もちも或気安さを持ち出したのを感じた...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...彼等のどの言葉にも行為にも、上品さと陶冶とが見られ、衒うところも、不自然な隔意もなく、我々に対する心づかいも、気安く、同情を以て与えられた...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...東京では女ひとりの所帯はたいへん気安いとかいいますから……」予は突然打ち消して...
伊藤左千夫 「紅黄録」
...第一気安だろうと思って...
谷譲次 「踊る地平線」
...見下げられる気安さを思ふ...
種田山頭火 「其中日記」
...「え、御老人、どうしました? 苦しいですか」さう声をかけながら、練吉は近眼鏡の下から切れ目をぱちぱちさせ、気安げに、眠つてゐる道平の顔の上にのぞいた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...院長が気安く診てくれた...
徳田秋声 「仮装人物」
...」北村は気安く言った...
豊島与志雄 「自由人」
...使でも出そうかと思ってたところです」比田は健三の兄に向ってこの位な気安い口調で話の出来る地位にあった...
夏目漱石 「道草」
...汚れた土を崩す事は気安めではない大きい冷い屋根を引つぺがへして浪の泡沫をふりかけやうか!それとも長い暗いトンネルの中へ鎖の鍵を持つてゐるムカデをトコロテンのやうに押し込んでやらうか!奈落にひしめきあふ不幸な電気人形よ波を叩いて飛ぶ荒鷲のツバサを見よ海よ海!海には自由で軽快な帆船がいつぱいだ...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...りよは気安く話が出来...
林芙美子 「下町」
...お話にならない大馬鹿者は私だ! 人のいゝって云う事が何の気安めになろうか――...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...気安い態度が消えた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...「申し上げます、根岸の大戸(おおど)さまがお見えになりましたが――」との、取次の言葉には見向きもせず、「片里(へんり)どのなら心置きない――客間にお通し申すまでもなく、失礼ながらこれへお連れ申すがよい」と、気安く言って、自分は尚も絵絹に向っているのでした...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...皆いっしょに用事をしていては目だたずに済んで気安いものなのだが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...宮のおいでにならぬ時であったから常陸の妻は気安く思い...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...小鳥に餌(ゑ)をば遣(や)るやうな気安い時を持たなんだ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...宿なし犬に縁の下を貸すくらいな気安さで泊めてはくれるが...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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