...只自分の土地解放は決して自ら尊敬されたり仁人を気取る為めの行動ではなく自分の良心を満足せしむる為めの已むを得ない一の出来事であつた事を諒解して欲しいと思ふ...
有島武郎 「狩太農場の解放」
...なにやら御釈迦(しゃか)様を気取るようでおかしく感ずる人がありましょうけれども...
井上円了 「おばけの正体」
...殊に江戸文化の爛熟した幕末の富有の町家は大抵文雅風流を衒(てら)って下手(へた)な発句の一つも捻(ひね)くり拙(まず)い画の一枚も描けば直ぐ得意になって本職を気取るものもあった...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...「銭が儲かるの儲からんのと政治家や文学者を気取る先生方が俗な事を仰(おつ)しやる...
内田魯庵 「貧書生」
...素人探偵を気取ることも...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...彼はそれをも気取るためのきつかけにしてゐた...
武田麟太郎 「大凶の籤」
...先生に対して少しも気取る必要は無い...
太宰治 「佳日」
...気取るな、気構へを捨てろ!夜中、行李から冬物をとりだすとき、油虫七匹ほどたゝき殺した、そしてそれが気になつて、とりとめもない事を考へつゞけた、何といふ弱虫だ、私は油虫よりも弱い...
種田山頭火 「其中日記」
...カサノヴァを気取る此の軽薄児も...
中島敦 「光と風と夢」
...私のいう気取るとか虚栄とかいう意味は...
夏目漱石 「こころ」
...あなた気取ることは止(よ)して...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...決して風流を気取る柄ぢやないが...
牧野信一 「趣味に関して」
...殊にその豪傑志士を気取る処は俗受けのする処であってその実その紀行の大欠点である...
正岡子規 「徒歩旅行を読む」
...しかし老齢になってからもなお気取ることができたところにトルストイの偉さがあるのかも知れない...
三木清 「読書遍歴」
...はにかむか、気取るか、苦情を言ふかと思ふのである...
森鴎外 「花子」
...笑ったりするのは気取るのだ...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...特権階級を気取るつもりらしく...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...わずかに和歌に隠れて詩人を気取るとも「自己」をのみ目的とする彼に何の価値があろう...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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