...只自分の土地解放は決して自ら尊敬されたり仁人を気取る為めの行動ではなく自分の良心を満足せしむる為めの已むを得ない一の出来事であつた事を諒解して欲しいと思ふ...
有島武郎 「狩太農場の解放」
...何処(どこ)の家の物でなければ喰えないなどと贅をいっていた代りには通人を気取ると同時に紳士を任じていた...
内田魯庵 「斎藤緑雨」
...「銭が儲かるの儲からんのと政治家や文学者を気取る先生方が俗な事を仰(おつ)しやる...
内田魯庵 「貧書生」
...時には自ら素人探偵を気取る程の稚気も持合せているのですから...
江戸川乱歩 「黒手組」
...気取る事が出来やしない」ここに於いて...
太宰治 「親友交歓」
...どうしても気取ることが出来ないのである...
太宰治 「善蔵を思う」
...公衆のまえで気取ると私は顔面から水蒸気を発散するのがつねだ...
谷譲次 「踊る地平線」
...父親のむずかしげな顔色を気取ると...
徳田秋声 「黴」
...袁世凱(えんせいがい)を気取るような無茶な野心家ではない...
中里介山 「大菩薩峠」
...英雄を気取るものでもないが...
中里介山 「大菩薩峠」
...御注進とおいでなすったんで」「気取るな...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...存分に使って下せえ」「気取るなよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あなた気取ることは止(よ)して...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...殊にその豪傑志士を気取る処は俗受けのする処であってその実その紀行の大欠点である...
正岡子規 「徒歩旅行を読む」
...頭の単純な娘達はそんな事を思ういと間もなく只そのこけおどしの利く字のならべかたに気をうばわれてしまって自分でもその文をうのみにした様なものを書き出したり「大きくなったら」なんかととんでもない文学者を気取るものも出来て来ます...
宮本百合子 「現今の少女小説について」
...はにかむか、気取るか、苦情を言ふかと思ふのである...
森鴎外 「花子」
...笑ったりするのは気取るのだ...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...わずかに和歌に隠れて詩人を気取るとも「自己」をのみ目的とする彼に何の価値があろう...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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