...お徳は日頃の気丈さも振り捨てて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そうでもしなければ、とてもやっていけないんですから」足りないながら、さほど逼迫(ひっぱく)もしない毎日の食餌(しょくじ)のことを考えあわせれば、そういう陰の働きがあったればこそと、思いあたるわけだったが、女中の口の足りなさもさることながら、自分からは、ひとこともいわずにすませておく、柚子の気丈さに、感心するよりも呆れた...
久生十蘭 「春雪」
...殊更に気丈さを装ふらしき此男の囚人姿を目送した...
平出修 「逆徒」
...御挨拶は後に』藤左衛門は、主税に向って会釈をしたり、お陸に対しても、気丈さを示して、よろめきながらも自身で通ったが、三平の方はまったく、呼吸(いき)があるだけの容体だった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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