...今まで秘密にしていた事をなんとかいわれやしないかとの気づかいのためか...
有島武郎 「或る女」
...どうせほんものにはなる気づかいはないという諦めも働いていないではなかった...
有島武郎 「星座」
...少し位物音を立てても聞える気づかいはなく...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...姉ちゃんちゅうもんある方が外の男に取られる気づかいない思て...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...格別女主人の気を悪くさする気づかいもないと思ったので...
近松秋江 「霜凍る宵」
...そうして主要な名所旧跡をうっかり見落とす気づかいもない...
寺田寅彦 「案内者」
...主家の収入をぬすみてわがふところを肥やす気づかいなきがこの男の取り柄と...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...尋常では幸内が拙者に譲る気づかいもなし...
中里介山 「大菩薩峠」
...もっともそんなばかげた講義を聞いたってとらわれる気づかいはないから大丈夫だが...
夏目漱石 「三四郎」
...まだ教会の中に残っているらしいポオランドの少女たちの事を気づかいながら...
堀辰雄 「木の十字架」
...島原一揆(いっき)のとき賊将天草(あまくさ)四郎時貞(ときさだ)を討ち取って大功を立てた忠利の身の上を気づかい...
森鴎外 「阿部一族」
...よほどの泥酔者でなければ迷い込む気づかいの無い処です...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...これ位の女になるとモウこの上に泥を吐く気づかいはないんだ...
夢野久作 「焦点を合せる」
...もしや……と胸を轟(とどろ)かしながら……母親を気づかいながら……...
夢野久作 「継子」
...お気づかいなく、仰せ出しくだされたい」「うれしく思います」こころもち頭を下げて、「みかどにおかれても、道誉が供奉(ぐぶ)の内におるは、憂いの中ながら、唯一の心頼みじゃと、仰せられておられまする」それは廉子も思うことらしかった...
吉川英治 「私本太平記」
...お気づかいはございませぬ」「そのことではない」尊氏は叱るがごとく言った...
吉川英治 「私本太平記」
...供もいるはずでございますから……おことばに甘えて」「お気づかいなさるな」牛車(くるま)はすでにゆるぎ出した...
吉川英治 「親鸞」
...この一隠居と将軍家との対面に無言の気づかいを終始くばっていた...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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