...封筒を逆さまにすると色とりどりのポジがヒラヒラと寝台の毛布の上に舞い落ちるのは私の殺風景な兵営生活にただ一つの色彩であつた...
伊丹万作 「私の活動写真傍観史」
...殺風景な部屋である...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...「さよなら!」さよなら!大きな声で「さよなら!」何国(どこ)の港も同じ殺風景な波止場の景色に過ぎないんだが...
谷譲次 「踊る地平線」
...まだ設備なども整っていない殺風景なアパートであると云うことであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...あとは寝るばかりかね?」「さうです……殺風景なもんですよ...
田山録弥 「一室」
...あまりに殺風景なような気がした...
寺田寅彦 「石油ランプ」
...殺風景な段梯子を上つたりするのが...
徳田秋聲 「佗しい放浪の旅」
...さうして唱歌といへば殺風景な戦争ものばかり歌はせて面白くもない体操みたいな踊りをやらせる...
中勘助 「銀の匙」
...丹波の国から生捕りました荒熊の如き無芸で殺風景なものはない...
中里介山 「大菩薩峠」
...殺風景な汽車の扉ががたぴしと立てられて車掌の呼子がぴり/\と鳴つたら汽車は夜の中へ大急ぎで紛れてしまつた...
長塚節 「開業醫」
...上流の二見温泉を引いて来たもので、あたりになじまない、殺風景な、まず一軒屋の体だったが、只向うの見あげるような山腹に屋根が一つ見えるので、あれは何だ、と助七にたずねたら、「あれは太皷をたたく家よ……」と答える...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...人世は定めし窮屈でかつ殺風景なものだろう...
夏目漱石 「思い出す事など」
...抑も一國の政治は甚だ殺風景なるものにして...
福沢諭吉 「帝室論」
...この殺風景な都会のまんなかで...
ホーソーン Nathaniel Hawthorne 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...私のこの殺風景な居室を見ながら...
牧野信一 「趣味に関して」
...ただその戦災地の眺めの余りにも殺風景なるを哀しむ以外にはさして烈しい哀惜の念を抱かうとしない...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...あの殺風景な別荘とに限られていたのである...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...その他色々の殺風景な変形をして...
柳田国男 「木綿以前の事」
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