...まだ何處となく物の燻(くすぶ)る臭氣(にほひ)の殘つてゐる空氣に新らしい木の香が流れてゐた...
石川啄木 「札幌」
...敷島に對して殘つてゐる戀だ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...心殘の銹(さび)も無く...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...新聞社には文藝部長といふ名目だけ殘して...
宇野浩二 「「鱧の皮 他五篇」解説」
...重複しないものを殘して...
内藤湖南 「支那目録學」
...給金の殘りと荷物は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...苦笑を殘して立ち上がりました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...豊家恩顧の大名は代變り乍らまだ諸國に殘つて居る時なり...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...一人殘されちや嘸(さぞ)困(こま)るだらう」「――」お美乃は默つて涙を拭きました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...落ちついた野郎だな」平次は伊八の袖に殘る細刄の兇器の跡を指しました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...昔はさぞと思はせるきりやう――貧苦も奪ひきれない底光りのする美しさが殘つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もとより君はかぐはしく阿艶(あで)に匂へる花なればわが世に一つ殘されし生死の果の情熱の戀さへそれと知らざらむ...
萩原朔太郎 「氷島」
...七輪の殘り火が急に華やかに燃えてゐる...
林芙美子 「雨」
...長い戰爭の苦しかつた殘酷な思ひ出に...
林芙美子 「なぐさめ」
...休みなき昂奮と殘忍な我慢の下に同時に置かれることなのだ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...自分(じぶん)が大人(おとな)になつた時(とき)(斯(こんな)無邪氣(むじやき)な心(こゝろ)の少(すこ)しでも殘(のこ)つて居(ゐ)たいものだと願(ねが)ひました...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...殆どひとつとして記憶に殘つてゐるものも無い...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...先生が私だけにちよいと用事があるからとお席に殘した...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??