...相手を殊更に意識する必要はないよ...
...この案件には殊更な注意が必要です...
...自分から殊更にアピールするのは得策ではないかもしれない...
...彼女は殊更に世間に気にされることなく生きている...
...失敗を避けるためにも、必要以上に殊更に気を遣いすぎず、自分らしい行動を心がけてください...
...いかなる事をか全畫圖をおもひ浮べしめむために殊更に數へ擧ぐべき...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...殊更お柳と気心が合つてゐた...
石川啄木 「鳥影」
...殊更に自分の歡心を買はうとすることろが見える...
石川啄木 「鳥影」
...吉野は眉間の皺を殊更深くして...
石川啄木 「鳥影」
...姉の横顔が殊更白く浮いて見えたりした...
田畑修一郎 「鳥羽家の子供」
...殊更暑いと云はれた南方の長崎に択んだのか自分ながらも少しくその解釈に苦しむのである...
永井荷風 「海洋の旅」
...自分の座敷は殊更谷川に近いかして夜の深けると共に水の音がます/\耳につく...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...殊更にさびしき今の身の上...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...文七(ぶんしち)というものが元結こぐ車の響をば昼も蜩(ひぐらし)に聞きまじえてまた殊更の心地し...
永井荷風 「日和下駄」
...殊更(ことさら)勘次(かんじ)に對(たい)しては皺(しな)びた顏(かほ)の筋肉(きんにく)を更(さら)に蹙(しが)めて居(ゐ)るので...
長塚節 「土」
...女は殊更(ことさら)肉を隠しがちであった...
夏目漱石 「こころ」
...殊更殺された相手は評判の悪い無頼の青年であつた...
夏目漱石 「それから」
...骨格の円味に随つて追ひ/\と運んで行くと、眼とか鼻とか口などのあんばいは、自然と位置が決つて来るもので、殊更には、さう云ふ部分上の個所に特別の留意を施す要はないのであるが、その前提の骨格を見透すと云はうか、制作上の概念と実在物とを結びつけるヒントと云はうか、そこは何うも云ひ憎いのであるが、云はゞ芸術的創作のヤマに到達する迄の手段として、斯うして鼻の寸法を計つたり、頤のかたちを撫でたりするのであつて、これは夢もなく写実を事としてゐるわけではない、そのヤマにさへ到達すればあとはもう口笛を吹きながら進めるのであるが……そして、単なる肉づきなんての問題は、痩せたり肥つたりして定めもないのだし、斯ういふ制作の場合は此方こそ気が永いのだから、二の次であるが……といふやうな意味のことを岡はりら子にぽつ/\と答へながら、尚も凝つと私の頭や鼻のかたちに留意の眼を注ぎつゞけてゐた...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...私は殊更に平気を装つては見せましたが...
牧野信一 「心配な写真」
...であるからとて殊更に其水文化年間の品川風景を描く可く苦心したとも考へられない...
正岡容 「山の手歳事記」
...殊更、その風貌(ふうぼう)は、眉が美しく、鼻梁(はなすじ)が通り、口元が優しく緊(ひきしま)っているので、どちらかというと、業態(ぎょうてい)には応(ふさ)わしからぬ位、みやびてさえ見える...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...田舎に入るからと思って殊更らに時を合わせて来たのに...
水野葉舟 「土淵村にての日記」
...今日は殊更しおれて何処か毛の濡れた仔猫のように見える彼女は...
宮本百合子 「或る日」
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