...殊(こと)に知り人に遇(あ)ふことは到底堪へられないのに違ひなかつた...
芥川龍之介 「歯車」
...姫が家にありてのさまはこれと殊なるを見ざればなり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...曲亭馬琴の小説類が殊に多うございました...
上村松園 「幼き頃の想い出」
...殊に、時刻は三時頃とおぼし...
大町桂月 「妙義山の五日」
...殊に私がまごまごして附け兼ねている間(ま)に氏はグングンと一人で数句を並べたてて行った...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...わたくしどもの野中家(のなかけ)は、それはもうこんな田舎の貧乏な家ですけれども、それでも、よそさまから、うしろ指一本さされた事も無く、先祖代々この村のために尽して、殊にも、わたくしの連れ合いは、御承知のように、この津軽地方の模範教員として、勲章までいただいて居りますし、それに、わたくしどもの死んだ長男は、東京帝大の医科にはいって、もう十年もそれ以上も、昔の話でございますけど、あれが卒業間際(まぎわ)に死んだ時には、帝大の先生やら学生さんやら、たくさんの人からおくやみ状をいただき、また、こんな片田舎にまで、わざわざご自身でお墓まいりに来て下さった先生さえあったのです...
太宰治 「春の枯葉」
...殊にその一人の、エーディトという女中は、若様が大奥様のお頸に両手を廻して接吻(キッス)していらっしゃるところを見たと、ハッキリ証言している...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...思うに日本のような特殊な天然の敵を四面に控えた国では...
寺田寅彦 「天災と国防」
...蘭書の種類によつては殊にさうだつたからである...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...李はその父子の立場に特殊な興味を持ち...
豊島与志雄 「在学理由」
...うまくゆくと特殊な美点を有して...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...身体の方は漸々と衰弱して殊に寒気には閉口する...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...現代の年少詩人が日本にも随分古くからある天竺牡丹(てんぢくぼたん)の花に殊更(ことさら)ダリヤといふ洋語を応用し...
永井荷風 「虫干」
...殊に独逸(ドイツ)などでは...
新渡戸稲造 「教育の目的」
...殊に最後の一節は...
平出修 「計畫」
...これすなわち両者が今に至るまで臭芳(しゅうほう)の名を殊(こと)にする所以(ゆえん)なるべし...
福沢諭吉 「瘠我慢の説」
...殊(こと)に外生活だけを臚列(ろれつ)するに甘んじないで...
森鴎外 「大塩平八郎」
...殊に山姥は見たところは恐ろしいけれども...
柳田國男 「日本の伝説」
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