...停車場に近づいた汽車はだんだんと歩度をゆるめていた...
有島武郎 「或る女」
...これ以上のことをしたら俺はたしかに堕落(だらく)をし始めたのだといわなければならない」淋しい道路に折れ曲るときゅうに歩度をゆるめた柿江は...
有島武郎 「星座」
...先に立つ幸太郎は、玉砂利のためと風のために歩きにくいらしく、歩度が遅い...
梅崎春生 「狂い凧」
...いそいで向き直って今までより歩度を速めて歩きだした...
妹尾韶夫 「凍るアラベスク」
...すると女は確に歩度を緩めるらしいんだ...
南部修太郎 「S中尉の話」
...四階では歩度をゆるめなければならなかった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...歩度を進めて行くことができなくなった...
久生十蘭 「地底獣国」
...一と飛びに三間ずつも跳ねてくる恐竜の歩度には敵(かな)わなかった...
久生十蘭 「地底獣国」
...熱いのを一杯、どうな?」そんな「当り矢」の言葉も聞きすてて、一層、歩度を伸ばした...
火野葦平 「花と龍」
...だれか――」と自分の考えをまとめながら歩度をおとしてそう云った...
本庄陸男 「石狩川」
...――(ここで繰返される「北大寮歌」の歌い方と歌の調子で登高の段階と四人の疲れ方や歩度や山の様子を暗示するように変化をつけること)歌(第一歌詞)都ぞ弥生の雲紫に花の香漂う宴の莚尽きせぬ奢に濃き紅やその春暮れては移ろう色の夢こそ一時青き繁みにもえなんわが胸思いを乗せて星影さやかに光れる北を人の世の...
三好十郎 「樹氷」
...お次は完全な暇潰し、繧緻自慢、歩度は緩...
三好達治 「銀座街頭」
...去定は大股(おおまた)の歩度をゆるめながら...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...急に歩度を早めた菜葉服の男が躍りかかって...
夢野久作 「オンチ」
...何か考えているらしい緩やかな歩度(ほど)でコトリコトリと近付いて来るのであったが...
夢野久作 「怪夢」
...お局外の長廊下を大書院へ近づくうちに次第次第に歩度が弛(ゆる)んで...
夢野久作 「名君忠之」
...急速にアフリカ回航の歩度がのびようとしていた時だからである...
和辻哲郎 「鎖国」
...私は息を切らして歩度を緩めた...
和辻哲郎 「創作の心理について」
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