...殆末期(ほとんどまつご)の芭蕉の顔を正視する事が出来なかつたらしい...
芥川龍之介 「枯野抄」
...又私が落付いて正視するを得る事物の前に...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...誰ひとりとして敢てラザルスを正視するものはなかった...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...今日事実を正視するものにしてこの論旨に反対するものは恐らくあり得ないのであって...
石原純 「社会事情と科学的精神」
...この苦悶(くもん)を正視するに耐えない様子であった...
江戸川乱歩 「影男」
...されば佐助は当夜枕元へ駈け付けた瞬間(しゅんかん)焼け爛(ただ)れた顔をひと眼見たことは見たけれども正視するに堪(た)えずしてとっさに面を背(そむ)けたので燈明の灯の揺(ゆら)めく蔭に何か人間離れのした怪(あや)しい幻影(げんえい)を見たかのような印象が残っているに過ぎず...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...初めて正視することができた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...人生を正視することを恐れ...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...房子は不思議なことに嫉妬の感情を交へないでマダム達を正視することが出来た...
原民喜 「五月」
...物事をあるがままの姿で正視する明るいスナオな目を持ち...
三好十郎 「恐怖の季節」
...殆んど正視するに耐えないものであった...
山本周五郎 「ちいさこべ」
...生きながら魂を引き抜かれて行くのを正視する……その生きた死骸を自分の手にかけて検査する……そうしてその結果を手柄顔に公表する……という決心がドレ位つき難(にく)い事を思い知ったか...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...今のうち見るべきその心を正視する恐怖に耐え得せしめようと企てた東野の心底は...
横光利一 「旅愁」
...ようやく正視することが出来た頃おいである...
吉川英治 「新書太閤記」
...正視するを得ず思わず頭を垂れていた……...
吉川英治 「新書太閤記」
...綱吉の眼はよく正視することができなかった...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...この敵を正視すると...
吉川英治 「宮本武蔵」
...しかし私は絶望する心を鞭うって自己を正視する...
和辻哲郎 「生きること作ること」
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