...」いいがかりに止むを得ず...
泉鏡花 「婦系図」
...止むを得ず……強制……執行する場合もあるべく……だって……へえ...
犬田卯 「瘤」
...止むを得ず、「実は」と、僕の方から口を切って、もし両親に異議がないなら、してまた本人がその気になれるなら、吉弥を女優にしたらどうだということを勧め、役者なるものは――とても、言ったからとて、分るまいとは思ったが、――世間の考えているような、またこれまでの役者みずからが考えているような、下品な職業ではないことを簡単に説明してやった...
岩野泡鳴 「耽溺」
...息子が兵隊に行くと、何本も旗を立ててお祭り式に送られるから、止むを得ず、その人々に酒を飲まして思わぬ借金が殖える...
丘浅次郎 「改善は頭から」
...馬越氏も止むを得ず譲る事にしたものだ...
薄田泣菫 「茶話」
...止むを得ず二十一日に繰延べる事になつた...
薄田泣菫 「茶話」
...それにひかされて止むを得ず知吉を入籍した...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...止むを得ずにさうした話まで持ち出して...
田山録弥 「海をわたる」
...しかし多分子的(マルティモレキュラー)現象に遭遇して止むを得ず統計的の理論を導入した...
寺田寅彦 「地震雑感」
...自営上止むを得ず彼の人物を嚥下(えんげ)せり...
ドストエウスキー Fyodor Mikhailovich Dostoevski 森林太郎訳 「鰐」
...そこで止むを得ず私が当るのである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...――二十八歳で止むを得ず早くも悟った人間(フィロゾーフ)になることは容易ではない...
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig van Beethoven、ロマン・ロラン Romain Rolland 片山敏彦訳 「ベートーヴェンの生涯」
...あるいは止むを得ず商売換えでもしていたかも知れませんが...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...私は止むを得ずこれを駒場の農科大学へ持って行ってそこでそれを写生し...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...万止むを得ずんば慈悲を捨てよ...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...合祀励行で止むを得ず合祀せし諸社の跡地完全に残存するものは...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...止むを得ずその主演者の最高の弟子が監督を引き受ける...
夢野久作 「能とは何か」
...そこでトルレスは止むを得ず二月二十日に横瀬浦へ引返した...
和辻哲郎 「鎖国」
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