...止むを得ず、受取りて袂に入る...
大町桂月 「月の東京灣」
...息子が兵隊に行くと、何本も旗を立ててお祭り式に送られるから、止むを得ず、その人々に酒を飲まして思わぬ借金が殖える...
丘浅次郎 「改善は頭から」
...自営上止むを得ず彼の人物を嚥下(えんげ)せり...
ドストエウスキー Fyodor Mikhailovich Dostoevski 森林太郎訳 「鰐」
...止むを得ず有り合せの繪端書を銅版にして代用した...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...止むを得ず、一番たくさん飼っていて、一番沢山減った、飼主が、一匹ずつ引っ捕まえて、スタンプ用の赤インクを、ベタベタと背中へ塗りつけたのだった...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...夫れでは何か理屈があつて止むを得ずといふ次第か...
樋口一葉 「にごりえ」
...加十も止むを得ず野太い口を開いて麩(ふ)呑みに呑み込むと...
久生十蘭 「魔都」
...尚、市当局案としては、指定人に損害を与えるということは出来ないから、指定になった月まで溯(さかのぼ)って支給したいと申し出でたが、先刻から、止むを得ず、千五百六十円は承認したものの、忿懣(ふんまん)やるかたなく思っていた民政党の参事会員は、この時とばかり口を揃えて反対を唱えた...
火野葦平 「糞尿譚」
...止むを得ずそのまゝ隣家よりボロ/\の野良着を借り出し棕櫚の枯葉を被り...
牧野信一 「途上日記」
...私は止むを得ずこれを駒場の農科大学へ持って行ってそこでそれを写生し...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...多くの国から同じ性質の推論を引出す必要上ほとんど止むを得ず同じことを繰返すことになってしまう恐れがある...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...万止むを得ずんば慈悲を捨てよ...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...止むを得ず田畑また沙浜においてするゆえ...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...門跡大に困つて止むを得ず大會式の場で其女を宗門放逐に處すと宣言した...
南方熊楠 「詛言に就て」
...あれは此のうちの何をして居る人?」三田は止むを得ず洋筆(ペン)を置いて...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...だから止むを得ずコンナ応急手段的な規約が設けられているのだ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...ワイワイ追いかけて来たから淫仙先生も止むを得ず屍体を抛棄(ほうき)して...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...インカは止むを得ず自ら答えた...
和辻哲郎 「鎖国」
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