...私は久しぶりで騒々しい都会の轢音(れきおん)から逃れて神経にふれるやうな何の物音もない穏やかな田舎の静寂を歓びながら長々と椽側近くに体をのばして...
伊藤野枝 「白痴の母」
...今日の昼間のような曇りのない歓びも...
中島敦 「光と風と夢」
...その気持ちは子供のような歓びなのだ...
林芙美子 「田舎がえり」
...故(ゆえ)に一方(かたかた)の心が歓ぶ時には他方(かたかた)の心も共に歓び...
二葉亭四迷 「浮雲」
...歓びの優しい歌をうたいながら...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「最後の晩餐」
...海豹どもはその大きな茶いろの眼に歓びの涙をためて岩の上にねそべっていた...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「精」
...あの二十六の花火の一夜に上越す歓びは...
正岡容 「圓朝花火」
...胸に抱けば 暖かろう蓋をすかし そっと覗けば 眼も耀こう愉しい 我心の歓びが還り愛が とけ恐ろしい横眼が真直な 正視に 微笑もう...
宮本百合子 「五月の空」
...機械の統制ある活動の美しさ、歓び、音響、一分間に何本の木材を切断するかという速力についても書かれている...
宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
...腋の下が羞痒(こそば)ゆいやうな新生の歓びから何も彼も涙ぐましく眺め入つた...
室生犀星 「愛の詩集」
...私は真に君の歓びを自分の歓びとして一日も早くその上梓の日を鶴首して待つ...
室生犀星 「抒情小曲集」
...そのときの一瞬の戦慄(せんりつ)に似た深い感覚の歓びは...
山本周五郎 「めおと蝶」
...それはそれなりに楽しみも歓びもあった...
山本周五郎 「柳橋物語」
...いのちの歓びに溢れた夫婦の美しさを...
横光利一 「旅愁」
...甦(よみが)えった歓びにはしゃいでいた...
吉川英治 「剣難女難」
...皇叔にもいかばかりお歓びあるやしれません...
吉川英治 「三国志」
...庶民生活の明るみと歓びも伴ってきた...
吉川英治 「新書太閤記」
...歓びともしていた国元の莫大な財産が...
吉川英治 「源頼朝」
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