...これを Erheben する力を欠くやうな芸術は如何なる地盤から生れて来たか――これが欧羅巴から私の持つて帰つた問題の一つである...
阿部次郎 「帰来」
...正造自身は莨銭にこと欠くことさえしばしばだった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...しかしその鈍重の趣を欠く理由の一つにはこのじっと案じ入ることの修業が足りない点があります...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...写真に縮小しては鮮明を欠くのでその一部分を掲げて描法の一端を示す事としたのである...
高村光太郎 「美の日本的源泉」
...これに反してもしその調和を欠くにおいては...
津田左右吉 「流れ行く歴史の動力」
...われわれの日常生活に必要欠くべからざるものと通例思われている器具調度の類でも...
寺田寅彦 「一つの思考実験」
...近代人相応の感覚や情操に事欠くこともあるまい――と...
徳田秋声 「仮装人物」
...そのような必要欠くべからざる...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...否肉迫力を欠くが故に...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...何んとかに欠くということになる)お由羅は...
直木三十五 「南国太平記」
...いちばん必要欠くべからざることさえもわからないのだ...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...……知能的な初犯者ほど、いろいろ手のこんだ方法を考え出すものですが、しかし、どういう場合でも、あらかじめ考案された方法というものは、柔軟性を欠くか、なにかしら過剰なものを持つか、この二つの欠点をまぬかれることが出来ないようです...
久生十蘭 「金狼」
...こんな時でもおふざけを楽しまれるとは慎重さを欠くこと...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...何も墓地を広くしないからツて死者に対する礼を欠くといふ訳は無い...
正岡子規 「墓」
...一般的教養に欠くことのできぬもの...
三木清 「如何に読書すべきか」
...だが必要欠くべからざるものの大部分を...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...近代の作に創意を欠くのは...
柳宗悦 「工藝の道」
...強剛な意志を欠く所に生ずるだだッ児らしいわがままのゆえに過ぎなかった...
和辻哲郎 「転向」
便利!手書き漢字入力検索