...トタンに、無雜作に、といふよりは寧ろ、無作法に束ねられた髮から、櫛が辷り落ちた...
石川啄木 「雲は天才である」
...「櫛がないぢやないか?」かの女は泣き聲だ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...その前に黄楊櫛(つげぐし)が一本投げ出されているではございませんか...
大阪圭吉 「幽霊妻」
...もとは歯櫛明神であったが...
田中貢太郎 「鮭の祟」
...この櫛(くし)を拾ったじゃないか」「その拾ったが怪しいよ...
田中貢太郎 「妖影」
...同書那珂郡の條下に曰く「平津驛家、西一二里有岡、名曰大櫛、上古有人、體極長大、身居丘壟之上、採蜃食之、其所食具、積聚成岡、時人取大之義、今曰大櫛岡、其大人踐跡、長卅餘歩、廣廿餘歩、尿穴跡可廿餘許、」大櫛今又大串と改稱(かいせう)して東茨城郡に屬せり...
坪井正五郎 「コロボックル風俗考」
...閃々(せんせん)として波間をくぐる魚鱗のように、町々辻々の要所要所をくぐり抜けて血を吸って帰るこの人の癖は、米友に於てもよく心得たものだが――いかに潜入が得意の人とはいえ、はじめての室内へ入って来て、櫛箱と、剃刀と、それから、なおよく見給え、ちゃんと下剃(したぞり)を濡らすためのお湯まで汲みそろえてある...
中里介山 「大菩薩峠」
...「この櫛が、死骸の側にあったのですよ、御新造」「まア」「囲いの中へ入らなかったんでしょうな」平次もツイ、この当惑した美女のために、助け舟を出してやる気になりました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...多い毛を櫛卷(くしまき)にして...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その櫛はたしかに私の物に違ひないと申して居ります」越後屋の後添へのお酉(とり)は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...王妃の親指の爪を台にして作った櫛や...
ジョナサン・スイフト Jonathan Swift 原民喜訳 「ガリバー旅行記」
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正岡子規 「俳人蕪村」
...時たまは束髪か櫛巻きにしてみたいと...
三宅花圃 「藪の鶯」
...櫛というものは髪を撫で...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...行燈のそばに坐って一枚の櫛のうらと表とをすかして見ていた...
室生犀星 「蛾」
...その先きのもう広小路の角に近い処の十三屋と云う櫛屋(くしや)との外には無かった時代である...
森鴎外 「雁」
...横へさした黄楊(つげ)の櫛(くし)で...
吉川英治 「剣難女難」
...髪へ横櫛でも挿しそうな小いきできれいな人だった...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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