...女の左右の手に持つた二本の櫂がちら/\と動いてボートは鉛色の水の上を滑りだした...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...鏡のような水面に櫂を操って対岸の絶壁の蔭へ漕いで行くのです...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...水棹を捨てて櫂を取った青年の手元は覚束ないものであった...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...その時男は組み合せた両手を解いて柔く女の頸を抱いた……男は立ち上って櫂を手にした...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...それで帆と櫂との軍艦が必要となった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...櫂(かい)は流れて舷に着く...
夏目漱石 「虞美人草」
...何をあわてたか櫂(かい)を振上げましたが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その船の船頭が櫂(かい)を振り上げて私を打たうと構へたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...竿や櫂で川底の石をつつぱつたり...
葉山嘉樹 「万福追想」
...ゴンドラの船頭は彼のただ一本の櫂(かい)を手から滑らせて...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「しめしあわせ」
...三田は櫂(オール)をあげて舟を流れに任せた...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...あるいは櫂をうごかしつつ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...櫂は水の中で曲って見えるようなある種の弯曲を持っている...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...其前に垂れ槽の中で攪拌する櫂の樣な木をハナ起しといふなど...
柳田國男 「食料名彙」
...深いところでは櫂を櫓のように使うのである...
山本周五郎 「青べか物語」
...櫂(かい)を取って漕ぎだそうとした...
山本周五郎 「青べか物語」
...櫓(ろ)よ櫂(かい)よ...
吉川英治 「三国志」
...しかし、その瞬間に、巌流の頭蓋は、櫂の木剣の下に、小砂利のように砕けていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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