...装飾的な背景の前にどつしりと立つてゐる橙(だいだい)色の女は視覚的に野蛮人の皮膚の匂を放つてゐた...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...香橙色(オレンジ)の真(ま)ん円(まる)な夕陽を...
谷譲次 「踊る地平線」
...待人はなか/\来ない、出たり入つたり、歩いたり佇んだり、さても待遠いことではある、待たれる身にはなつても待つ身にはなるなといふ、ほんに待つ身につらい落葉かなだ!もう諦めて、コツ/\柚子の皮を刻んでゐたら、さうらうとして樹明老がやつて来た、病気といふものはおそろしい、あれほど元気な君が二三日の間にすつかり憔悴してしまつてゐる、それでも約を履んで来てくれたとは――なぜ敬坊は来ないのか、すこし腹が立つた――ありがたい/\、うれしい/\、しかも、生きの飯鮹をさへ持つてきてくれたのだ、この鮹まさに千両!御馳走は何もない、橙湯をあげる、そして何かと話して、たそがれの草道で別れた、お互にたつしやでうまい酒をのむやうになりたい、至祷々々...
種田山頭火 「其中日記」
...まだ薄すらと橙色(オレンジ)を止めた青い空を映している...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...橙(だいだい)色...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...両側には木鉢(きばち)の橙樹(だいだい)が並んでいた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...首筋をあらわにし橙(オレンジ)の花を頭につけ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...前翅の先端が鮮かな橙黄に染まって印象的だ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...地平線上の青磁色が橙色にかわり...
中谷宇吉郎 「黒い月の世界」
...橙(だい/\)と御供(おそなへ)を置(お)く意味(いみ)が解(わか)らなかつた...
夏目漱石 「門」
...あの遠い一つのちりのように見える橙(だいだい)いろの三角標のあたりにいらっしゃって...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...みんな赤や橙(だいだい)や黄のあかりがついていて...
宮沢賢治 「グスコーブドリの伝記」
...橙(だいだい)のようなのは淡路(あわじ)の鳴門蜜柑(なるとみかん)だ...
村井弦斎 「食道楽」
...橙(だいだい)色に染まっている女竹の藪(やぶ)が見えた...
山本周五郎 「古今集巻之五」
...この橙の強い生命力は他の蜜柑と違うところで...
横光利一 「スフィンクス(覚書)」
...ぽッと春の灯が橙色(だいだいいろ)にともるころになりますと...
吉川英治 「江戸三国志」
...白い海気に滲(にじ)んだ橙色(だいだいいろ)の旭光を船底から上に仰ぐと...
吉川英治 「私本太平記」
...小田原にはこんなにあるということを知らせてやれ」と、時を措いて、本物の橙を、役夫八人にかかせるほど献じて来た...
吉川英治 「新書太閤記」
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