...浜木棉(はまゆふ)の花はこの雨の中にいつか腐つて行くらしかつた...
芥川龍之介 「或阿呆の一生」
...支那に棉(わた)か何か植ゑてゐるよし...
芥川龍之介 「学校友だち」
...今日は御夫婦で棉採りかな...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...身体の上にはごく薄い棉入れが一枚...
魯迅 井上紅梅訳 「故郷」
......
榎南謙一 「無念女工」
...統計で見ると内国産棉実(めんじつ)千トン弱とあるから...
寺田寅彦 「糸車」
...二つの反対に回る樫材(かしざい)の円筒の間隙(かんげき)に棉実を食い込ませると...
寺田寅彦 「糸車」
...なかには二宮先生の、そのお触書を見て、直ぐに馬に乗って先生をおたずねして、その仕方を丹念に聞き取ってから、村々をお諭(さと)しになって、木棉畑をつぶし、お堂やお寺の庭までも、蕎麦や大根をお作らせなさいましたお奉行様もありましたが、下野(しもつけ)の国の真岡(もうか)近在は、真岡木綿の出るところですから、木棉畑がうんとある、せっかくのその畑をつぶして、ほかの作物を作ることをイヤがる人が多いには、先生も困ったそうでございますが、その時に先生が、それではあきらめのために、木棉畑のいいところを少し残して置いてみなと、所々へ一反ぐらいずつ木棉畑を残させてみますと、秋になって棉実(わたのみ)が一つも結ばないのでなるほどと、はじめて感心したそうでございます...
中里介山 「大菩薩峠」
...木棉の金入を出して錦をかやれ...
三田村鳶魚 「女順禮」
...一時日本の棉作りの黄金時代のようなときがあった...
柳田国男 「故郷七十年」
...それ以来国内ではぱたっと棉を作らなくなり...
柳田国男 「故郷七十年」
...日本棉は年々減ってきたのである...
柳田国男 「故郷七十年」
...養蠶の外に稻は俵にはいつて、今田舍は大根ぬきで忙しい、棉もとれた、そちこち棉ぶちのビン/″\の音も聞える...
横瀬夜雨 「花守」
...彼女たちは円光のように身体の周囲に棉の粉を漂わせながら...
横光利一 「上海」
...舞い上る棉の粉が...
横光利一 「上海」
...廊下に積み上った棉の間には...
横光利一 「上海」
...廊下で燃え上った落棉の明りが破れた窓から電燈に代って射し込んで来た...
横光利一 「上海」
...俄然として棉布が一斉に暴落し始めた...
横光利一 「上海」
便利!手書き漢字入力検索