...金梨子地(きんなしぢ)のやうな火の粉が一しきり...
芥川龍之介 「地獄変」
...梨子(なし)くふ口つき...
芥川龍之介 「芭蕉雑記」
...私は祖父の古い梨子地(なしじ)の裃(かみしも)というのも見ました...
鷹野つぎ 「虫干し」
...白い梨子の花は高く浮織りになつてゐるやうだ...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...梨子の花は其等に頓着なく浮織りになつて遠く彼方に続いて居る...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...梨子の棚もとび/\にある...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...梨子地には、焼金(やききん)、小判(こばん)、銀、錫(すず)、鉛(この類は梨子地の材料で金と銀とはちょっと見て分り兼ねる)...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...かれはラムネに梨子(なし)を二個ほど手ずから皮をむいて食って...
田山花袋 「田舎教師」
...梨子(なし)二個の代三銭との釣(つ)り銭(せん)を婆さんからもらって...
田山花袋 「田舎教師」
...甘くて頬の落ちそうな梨子...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...」羊三は食後梨子の皮をむきながら...
徳田秋聲 「籠の小鳥」
...梨子地(なしじ)に住吉(すみよし)の浜を蒔絵(まきえ)にした四重の印籠に...
中里介山 「大菩薩峠」
...こうしていれば道標もろとも前から梨子割(なしわ)り...
中里介山 「大菩薩峠」
...あちらのを出せ」床の間の刀架(かたなかけ)に縦に飾ってある梨子地(なしじ)の鞘(さや)の長い刀を指しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...梨子を買つて柿を買つて...
長塚節 「月見の夕」
...水に流された梨子(なし)を大山に盛つて附木の札を立ててあつた...
眞山青果 「茗荷畠」
...一万八千頭の乳牛を飼養する牧場にはまた副産物として二千匹の鶏を飼養し、その鶏卵を販ぎ、馬二百七十頭を飼養する副産物としてはその馬糞を利用して菓物園を開き、林檎、桜実、梨子、桃、苺等を培養し、その葡萄の種類のみにても三百種の多きに上り、その菓物はそのまま市中に販がるるもの、あるいはその液汁を搾りて酒と為し、あるいは煮てジャムとなし、あるいは干して乾かし以て市民に販ぐ...
村井弦斎 「食道楽」
...梨子地(なしじ)の烏帽子(えぼし)をかむり...
吉川英治 「親鸞」
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